手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

本と映画-本

「図解 社会経済学―資本主義とはどのような社会システムか」

「図解 社会経済学―資本主義とはどのような社会システムか」 著者:大谷禎之介 出版社:桜井書店 出版年:2001 「図解」とあるからお手軽なアンチョコ本かと思ったら正反対のガチンコ本だった。マルクス「資本論」のかなり詳細な解説。ぼくにはとてもむ…

「対話でわかる 痛快明解 経済学史」松尾匡

「対話でわかる 痛快明解 経済学史」松尾匡 日経BP社 2009 面白かった。古典派⇒新古典派⇒ケインジアンの時代⇒新しい古典派の時代⇒そして現在、という大きな流れが理解できた。といってもぼくにはむづかしい箇所がたくさんあったので、そこは流して読ん…

「簿記物語」海生裕明

「簿記物語」海生裕明 長崎出版 2008 チャコに☟のモフモフベッドをくださった松本さんは公認会計士の資格をもち、監査法人で勤務した後に独立し、いまは個人事務所で中小企業の経営支援をメインに活動してをられる。 View this post on Instagram A post…

「経済の論点がこれ1冊でわかる 教養のための経済学 超ブックガイド88」飯田泰之 井上智洋 松尾匡

「経済の論点がこれ1冊でわかる 教養のための経済学 超ブックガイド88」 飯田泰之 井上智洋 松尾匡 亜紀書房 2020 こういう本はありがたい。「景気」「格差・貧困」「雇用・教育」など12のトピックについて各分野の専門家がその概要と論点を示し、読…

「古代インド」中村元

「古代インド」中村元 講談社学術文庫 2004 ここ数日、神経がたかぶって寝つきが悪かった。寝つきが悪いと朝が遅くなる。朝が遅いと一日が短くなり、気がついたら夕方になってゐる。チャコがドックフードを食べなかったり、家でオシッコをしなかったりし…

「批評の教室」北村紗衣

「批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く」北村紗衣 ちくま新書 2021 もう4年近く前になるのか(なんてこった!)、「キム・ヨナの芸術」という記事を書いた。これはぼくのブログのなかで一番読まれた記事で、当時はツイッターアカウントをもっ…

「MMT 現代貨幣理論とはなにか」井上智洋

「MMT 現代貨幣論とはなにか」井上智洋 講談社選書メチエ 2019 井上智洋さんの以下の単著、論考、鼎談を読んだ。 「MMT 現代貨幣論とはなにか」 単著 「政府の借金なくしてデフレ脱却なし」 「反緊縮!」宣言収録 「無料は世界をよくするのか」 ゲ…

「世界は贈与でできている」近内悠太

「世界は贈与でできている」近内悠太 NewsPicksパブリッシング 2020 人は一人では生きていけない。他の人と深い関係を結び、社会をつくって生きる。人から信頼され、見返りを求めずに助け合える関係性を築くためには、「他者からの贈与を受けられる主体…

「犬の科学」スティーブン・ブディアンスキー

「犬の科学 ほんとうの性格・行動・歴史を知る」築地書館 2004 著:スティーブン・ブディアンスキー 訳:渡植貞一郎 化石の発掘調査やDNA解析が進んでゐるので、犬についての新事実が次々と明らかになってゐるらしい。この本によれば、狼と犬は13万…

「人新世の「資本論」」斎藤幸平

「人新世の「資本論」」斎藤幸平 集英社新書 2020 収奪 資本主義は人間から収奪する。また環境から収奪する。それは際限のない運動だ。 資本主義とは、価値増殖と資本蓄積のために、さらなる市場を絶えず開拓していくシステムである。そして、その過程で…

「脱成長」セルジュ・ラトゥーシュ

「脱成長」セルジュ・ラトゥーシュ 2020 白水社 訳:中野佳裕 脱成長という語は、概念ではない。また、経済成長の対義語でもない。脱成長は何よりも論争的な政治的スローガンである。その目的は、我々に省察を促して限度の感覚を再発見させることにある…

「日本史に学ぶマネーの論理」飯田泰之

「日本史に学ぶマネーの論理」飯田泰之 PHP研究所 2019 すごく面白かった。貨幣理論について知りたかったので、パーフェクトにドンピシャの本だった。ぼくの知力ではちょっとむづかしくて、消化不良のところがあるけれど、まあいいや、しゃあないわな…

「経済学の考え方」宇沢弘文

「経済学の考え方」宇沢弘文 岩波新書 1989 季節の変わり目だからだろうか、7月からずっと忙しくしてきたその疲れが出たのだろうか、今週は心身ともに状態がよくなかった。しんどいぜ。今週末はだらだらしよう。 7月から8月上旬にかけてはデルタ株が…

「新世紀のコミュニズムへ」大澤真幸

「新世紀のコミュニズムへ」大澤真幸 NHK出版新書 2021 否認 コロナ禍のなかで世界各国のGDPは下がり、失業者も増え、消費は冷え込んでゐる。経済は基本的に悪化してゐるはずなのに、どういうわけか株価は上がってゐる。この倒錯的な状況は、集合…

「新しい共同体の思想とは」内山節

「新しい共同体の思想とは」内山節 農山漁村文化協会 2021 普遍を求めた結果 近代ヨーロッパの思想は「普遍思想」である。誰もが納得できる、どこにでも適応できる思想があるはずだという考えかたが根本にある。フランス革命の「自由・平等・友愛」がそ…

「資本主義を乗りこえる」内山節

「資本主義を乗りこえる」内山節 農山漁村文化協会 2021 資本主義の矛盾 資本主義以前の経済は労働の連鎖によって成立してゐた。農民が作物をつくり、それを仲買商が別の場所に届け、職人が料理をして、人の口に入る。労働があり、連鎖があり、それが結…

「民主主義を問いなおす」内山節

「民主主義を問いなおす」内山節 農山漁村文化協会 2021 近代世界の限界 近代社会は三つのシステムが三位一体となるかたちでつくられてゐる。国民国家、市民社会、資本主義である。その前提となるのが「自由な個人」という概念だ。「自由な個人」が王制…

「自分を変える気づきの瞑想法」アルボムッレ・スマナサーラ

「自分を変える気づきの瞑想法」アルボムッレ・スマナサーラ サンガ 2004 瞑想とは 人間には「からだ」という物体と「こころ」という精神的なエネルギーがある。「こころ」をひと言で定義すると、「外の世界を認識する機能」である。「こころ」が認識し…

「資本主義の終焉と歴史の危機」水野和夫

「資本主義の終焉と歴史の危機」水野和夫 集英社新書 2014 資本主義の起源 資本主義は「中心」と「周辺」から構成される。「周辺」すなわちフロンティアを拡げ、そこに資本を投下し、利潤を得て、大きくなった資本をまた別のフロンティアに投下する。投…

「犬はどこから・・・そしてここへ」畑正憲

「犬はどこから・・・そしてここへ」畑正憲 学研プラス 2007 犬の心拍数についての記述が面白い。 ロンドンに「どんな咬み犬でも治せる」と豪語する咬み犬の専門家がゐて、その人のやり方のひとつに、犬が咬もうとした瞬間にピストルみたいなもので「バ…

「ムツゴロウ先生の犬と猫の気持ちがわかる本」畑正憲

「ムツゴロウ先生の犬と猫の気持ちがわかる本」畑正憲 ベストセラーズ 2012 犬や猫が家にやってくると、普段の生活の中で犬や猫に拘束されることが非常に多くなります。 トイレを汚したら換えなければなりません。そこらじゅうに毛も散らばります。寂し…

「社会的共通資本」宇沢弘文

「社会的共通資本」宇沢弘文 岩波新書 2000 20世紀には資本主義と社会主義との対立が多くの悲惨な結果を生み出した。 社会主義諸国が行った中央集権的な計画経済は、国家権力を肥大化させ、市民的権利が制限され、個々人の内発的な動機を抑圧するもの…

「漢字伝来」大島正二

「漢字伝来」大島正二 2006 岩波新書 すべての人間集団は言語をもつが、そのうち文字を発明するのはわづかである。文字を発明した集団は「進んだ文明」を形成する。ここに権力構造が生まれる。文字をもつ「進んだ文明」がそうでない集団を征服する場合が…

「会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカー500年の物語」田中靖浩

「会計の世界史」田中靖浩 2018 日本経済新聞社 減価償却 減価償却の登場は会計の歴史において画期的な出来事である。産業革命を経た19世イギリスでは鉄道業が活況を呈した。会社は株主に配当を支払わねばならないが、鉄道は固定資産への初期投資があ…

「岩井克人「欲望の貨幣論」を語る」丸山俊一

「岩井克人「欲望の貨幣論」を語る」丸山俊一 2020 東洋経済新報社 貨幣は商品ではない。500円玉はモノとしては小さな銅の切れ端にすぎない。製造費用は50円もしないが、これが500円の価値あるものとして流通してゐる。つまり、おカネのおカネと…

にごりえ

6月12日、土曜。家事をすませ、昼過ぎに家を出て、日暮里に向かう。谷中を歩く。他にもいろいろ行ってみたいところはあるけれど、谷中があまりに心地よいのでまた来てしまった。しばらく谷中に通うことになりそうだ。環境を変えるべき時のような気がしてゐ…

「日本習合論」内田樹

「日本習合論」内田樹 ミシマ社 2020 6世紀に仏教が到来してすぐに神仏の共生が始まった。神社の中に寺院があり、寺院の中に神社がある。お寺に祝詞をあげる神官がゐて、神社にお経を唱える社僧がゐる。この神仏習合の伝統は1300年続いたが、慶応4…

「推し、燃ゆ」宇佐見りん

「推し、燃ゆ」宇佐見りん 2020 河出書房新社 主人公は精神的に問題を抱えてゐて、「ふつう」に生きることができない。「保健室で病院の受診を勧められ、ふたつほど診断名がついた」とある。推しを推すときだけ、彼女は活力を取り戻す。 若葉を抜けてき…

「呪の思想 神と人間との間」白川静 梅原猛

「呪の思想 神と人間との間」白川静 梅原猛 平凡社2002 白川静によれば、日本に文字が出来なかったのは、絶対王朝が出来なかったからだ。梅原猛は同意して言う。異民族を支配するような巨大な国家が出来ないと、文字は生れない。 白川 神聖王朝というと…

「インド文明の曙ーヴェーダとウパニシャッドー」辻直四郎

「インド文明の曙ーヴェーダとウパニシャッドー」辻直四郎 1967 岩波新書 面白かった。インド思想の勉強を楽しいと感じられるまでにけっこう時間がかかった。というのは、登場してくる神や概念がたくさんで、こんがらがって、よく分らないところがあるか…