手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「犬はどこから・・・そしてここへ」畑正憲

犬はどこから・・・そしてここへ畑正憲 学研プラス 2007

犬の心拍数についての記述が面白い。

ロンドンに「どんな咬み犬でも治せる」と豪語する咬み犬の専門家がゐて、その人のやり方のひとつに、犬が咬もうとした瞬間にピストルみたいなもので「バーン」と大きな音を出すというやり方がある。ムツゴロウさんによれば、大きな音でびっくりさせることで犬の心拍数が下がるんだそうだ。

犬は心拍数が劇的に変化するいきものだ。敵が来た瞬間には一気に心拍数をあげて激しく活動し、逆に休むときには心拍数を大きく下げて、省エネで完全な休息をする。

 実験の最中、何か困ったことが起きたんで、僕は「こら!」と一瞬大きな声を出して怒ったんです。

 心の底から出した声には、動物は感応します。心拍数が急に下がりました。私はそれまで、大きい声はストレスを与え、心拍数が上がってしかるべきと思ってたんですね。逆だったんですね、落ち着かせるものなんです。神経細胞に対して尊敬の念をいだきました。

 子犬同士が遊んでいます。一匹が咬まれる。「キャン」と短い大きな声を出す。するとパッと放す。つまり大きな声というのは「けんか止め」のサインなんです。それが出されると動物の心拍数をまず抑えて、平常状態を作り出す。こういう作用をしてたんですね。

 この咬み犬専門家の「バーン」も同じ事で、咬もうとする犬の心拍数を抑え込む作用があるんですね。 134頁

チャコはふだんは天使みたいないい子なのに、足を拭く、顔を拭く、ブラッシングをする、食事中に近づく/触れようとする、などの際に「ウー」といって威嚇し、手を引かないと咬みついてくる。

ムツゴロウさんは、この「ウー」はヒトに対して絶対にあげさせてはいけないので厳しく対処すべしという。これは友人からもいわれたことで、ダメなことをしたときには大きな声で「ノー!」といわないといけないんだネ。もろちん、それで過度に怯えさせない程度にということだけれど。

またムツゴロウさんは咬みクセへの対処法として、治そうと思うよりも、とにかく抱きしめて、めちゃくちゃに触ってあげなさいともいってゐる。触られることへの過敏さがあるから、もういいと思うまで触って、感覚を鈍化させてやらないといけない。強く触ることが大事だと。

 僕の場合は荒っぽいです。たとえば、野生動物と暮らすときには、ツメをのばします。なぜのばすかというと、刺激を与えるためです。「いい子だね、いい子だね」と強く刺激するんです。

 足なんかふこうとするからいけないんです。ふこうと思わないで、触ってるうちにさっとふいちゃうんです。こういうのを、遊びの中に組み入れてください。かまえていると、「何かされるじゃないか?」ということが犬に伝わるんですね。嫌がるということを考えずに、これから何かをするかということを意識せずに、流れの中でやってあげるといいと思います。 208-209頁

「何かをするかということを意識せず」というのは、まさに、奥義ですな😎

・「ウー」には厳しく対処する。

・強く、めちゃくちゃ触って、過敏さをやわらげる。

・意識を消して、流れの中でやる。

最後のはかなりむづかしそうなので、まづは前の二つをしっかり実践して、チャコの顔を拭いてきれいにしてあげたいですね。「ウー」はいかんぜよ🐶

 
 
 
 
 
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