2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧
「海辺のカフカ〈上〉〈下〉」村上春樹 新潮社 2002 十数年ぶりに再読。村上春樹の長編を読むといつも、世界の成り立ちってほんとうはこういうものなんだろうな、という気持ちになる。 「こちらの世界」と「あちらの世界」がある。ぼくたちは二つが重な…
「これからのエリック・ホッファーのために」荒木優太 東京書籍 2016 通読はしんどそうだったので、食指が動いた人物の頁だけ拾い読みした。そういう読書があってもいい。 仕事をしながら舞踊探求を続けてゐるぼくにとってたいへん勇気づけられる内容だ…
「愛するということ」エーリッヒ・フロム 鈴木晶=訳 紀伊國屋書店 2020 原著は1956年刊行の「The Art of Loving(愛の技術)」。 素晴らしい本だった。人間にとっていちばん大切なことが書かれてある。ときどき読み返して反芻する必要があるから、…
「心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋」斎藤環 與那覇潤 新潮選書 2020 豊かな対話。いまの日本社会について、そのなかで生きることについて、関係するあらゆる話題を縦横無尽に語ってゐる。誰が読んでも面白く、タメになる本だと思う。 ぼくがい…
「完本 小林一茶」井上ひさし 中公文庫 2020 (初演は1979年) 面白い! 面白い! 面白い! 再演したら見に行きたい!!! 最高すぎた。ほんとうに、井上ひさしはバケモノだ。 いくらなんでも勉強しすぎだし、趣向をもりこみすぎだし、ことばが豊穣…
「花束みたいな恋をした」2021 日本 監督:土井裕泰 脚本:坂元裕二 出演:菅田将暉、有村架純 イヤホンにはじまり、イヤホンに終わる。同じ音楽を聞いてゐるつもりでも、実はちがう音を聞いてゐる。同じ道を歩いてきた二人がそれぞれ別の道へと足を踏み…
「不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学」森本あんり 新潮選書 2020 アメリカ初期の入植者ロジャー・ウィリアムズ(1603頃-1683)の半生を辿りつつその寛容論を紹介する。それは「評価しないけれど受け入れる」「嫌いだけれど共存する」と…
昔、敬愛する職場の先輩が瓢箪をくれた。それがあんまり美しいので大事にかざってある。彼は自宅の庭で瓢箪をそだて、とり、かわかし、みがき、ぼくにくれたのである。 「林さん、これきれいでしょう。差し上げます」と。 内直くして外曲がる。荘子 天下は神…
先日、ある人と電話をしてゐて「年齢を重ねると、いろんなことを断言できなくなってくるよね」という話になった。「断言」ではなく「判断」だったかもしれない。とにかく、なんであれ、物事や自分や他人について、これはこうだ、こういう意味だ、こういう人…
「そのうちなんとかなるだろう」内田樹 2019 マガジンハウス 内田樹先生の自叙伝。 「師弟システムのダークサイド」についての記述、ほんとうにそうだと思った。ぼくは稽古事が好きでいろんな先生についてきたけれど、弟子の成長を阻害する指導者ってけ…
「ツイッター哲学 別のしかたで」千葉雅也 2020 河出文庫 千葉雅也さんのツイート集。いいな。有限性の哲学。「切断」という概念が頭から離れないや。千葉さんの第一小説「デッドライン」を読むと決めた。 以下、気に入ったツイートをメモ。 ニーチェの…
「インド古典演劇論における美的経験」上村勝彦 東京大学出版会 1990 いまでは入手困難な本。古本でさがすとすごい値段になってゐる。とうてい買うことはできないので図書館で借りた。品川区の図書館にはないということなので、リクエストして別の地域か…
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』2020 日本 原作:吾峠呼世晴 監督:外崎春雄 原作マンガもアニメシリーズも未見、ほとんど予備知識なしで見に行った。興行収入新記録を打ち立ててからけっこう時間が経ってゐる。ここまで見ずにきたのは、子供のもんだ…