2023-01-01から1年間の記事一覧
世の中のこと 2022年に始まったウクライナでの戦争が継続中である。今年10月にはイスラエル・ハマス紛争が勃発し、ガザ地区では非戦闘員の虐殺が行われてゐる。この数年はのちに第三次世界大戦の序章であったと記述されるのではないかと誰かが言ってゐ…
一昨日のレッスンは座学だった。その中でヒンドゥスターニー音楽の「Sum」について「Anandabindu と呼ぶことがある」とキタキ先生が言った。 まづ、Sum とは Taal の始まりの拍のことである。Taal とは拍の周期構成のことである。Sum から始まり Sum に終わ…
「聖と俗 宗教的なるものの本質について」 ミルチャ・エリアーデ 法政大学出版局 1969 神話の主要な機能は、すべての祭儀ならびにすべての人間の本質的活動(食事、性生活、労働、教育)に対する模範的典型を確立することである。人間が人間存在として充…
「日本の税金 第3版」三木義一 岩波新書 2018 なぜ、「減税」が正義の主張なのだろう。おそらく、税を支払ったことによる恩恵を実感できない政治が行われているからであろう。 キャプションに記したあとがきの言葉に尽きる。政治がひどすぎるのだ。過去…
11月8日、チャコの5歳の誕生日。早いものだな。チャコがうちに来たのは2021年の8月末、そのときは2歳だった。冬の入口が誕生日、小岩で三度目の冬を迎え、ことしチャコは5歳になった。ヒト年齢に換算するとわたしを抜いてしまったのかな。 けれど…
「名著誕生『コーラン』」ブルース・ローレンス 訳:池内恵 ポプラ社 2008 「すべての徴には外面と内面があり、限界と可能性がある」ムハンマド 「解釈」の学。 時間が経つとコーランの時代のアラビア語が分からなくなる。だから解釈が必要となる。また…
「ヒンドゥー教の聖典二篇 ギータ・ゴーヴィンダ デーヴィー・マーハートミャ」 小倉泰、横地優子 訳注 平凡社 2000 「ギータ・ゴーヴィンダ」クリシュナとラーダーの性愛が絶頂に達する場面。 ギータ・ゴーヴィンダ 解説から引く。 牛飼いの乙女ラーダ…
「加藤周一著作集8」加藤周一 平凡社 1979 理想主義がないということと、現状を現状であるからという理由で容認するのとは同じことである。 天皇制を論ず 1946年 敗戦の翌年に書かれた文章。加藤は27歳とまだ若い。天皇制を速やかにやめねばならない…
教室仲間のウマ(Uma)さんがシェアしたもの。 クリシュナ(Krishna)ノートがまだ終ってゐない。書いてゐるうちに話がひろがってしまいそんなつもりなかったのに構成なんか考えだしていたづらに長くなる。これはいけない。ダシェラ(Dussehra)ノートはもう…
「訂正可能性の哲学」東浩紀 ゲンロン 2023 まづ第一部、ウィトゲンシュタインとクリプキの読み替えによる「家族」概念の再定義がベラボーに面白い。そして今度はその議論をふまえてルソーの読解を行う第二部がこれまた圧倒的に面白い。じつはさっきの概…
「加藤周一著作集7」加藤周一 平凡社 1979 学校の教科書で読んだ雑種文化論を二十年ぶりに読み返したくなって書庫から出してもらった。著作集前半におかれた日本文化の雑種性を論じたいくつかの論文よりも、後半の「戦争と知識人」や「日本人の外国観」など…
我太喜欢宫爆鸡丁了。(宮爆鶏丁が大好きです) 先週につづいて宮爆鶏丁をつくった。前回は日本人が紹介するレシピを参考にしたために麻(マー)と辣(ラー)が足りずいくぶん頼りない宮爆鶏丁になってしまった。その反省を活かし、今回は中国人が中国人向け…
「日本二千六百年史」大川周明 毎日ワンズ 2017 大川周明は昔の凄い知識人のひとりだ。語学に堪能で、万巻の書を読破し、日本ではじめてコーランの全訳をしたひと。間違いなく破格の人物である。敗戦後には民間人としてただ一人、極東国際軍事裁判でA級戦犯…
写真はまづいが、味は悪くなかった。 宮爆鶏丁(ゴーンパオチーティン)をつくった。Wikipediaや百度百科で調べると「宮保鶏丁」という表記のほうが一般的みたいだけれど、わたしは「爆」の字が入ってゐるほうが景気がいい感じがしてテンションが上がるので…
「観光客の哲学 増補版」東浩紀 ゲンロン 2023 「観光客の哲学」に犬の話が出てくる。 家族という言葉は、いまの日本ではじつは、ここまで見てきた意味よりもさらに柔軟に使われている。というのは、最近では、犬や猫のようなペットも「家族」と見なされ…
いよいよインボイス制度が導入される。わたしは昨年職業訓練学校に通って簿記2級を取得し、現在某流通関係の中小企業で派遣社員として就業中の駆け出し経理マンである。駆け出しなのでたいした仕事はしてゐないが、インボイス制度のためにあれこれ事務処理…
「仁斎・徂徠・宣長」吉川幸次郎 岩波書店 1975 伊藤仁斎と荻生徂徠と本居宣長についての論文を集めたもの。宣長に関する二篇は「本居宣長」で既読であったため読まなかった。いや再読したい気持ちはあったが時間がなくて読めなかった。 江戸川区の図書…
「天皇とアメリカ」吉見俊哉、テッサ・モーリス-スズキ 集英社新書 2010 頭がぼんやりしてゐる。頭がぼんやりしてゐるのは昨夜寝つけなくて1時くらいに睡眠導入剤を飲んだからである。わたしはちょっと睡眠時間が足りないと活動できなくなり抑鬱的な気…
「13歳からの天皇制」堀新 かもがわ出版 2020 憲法における天皇の位置付け 大日本帝国憲法の1条に「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とある。その根拠は神話である。 告文に「皇宗ノ神霊ニ誥ケ白サク皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ宝祚ヲ承…
クリシュナ・ジャンマシュタミ(Krishna Janmashtami) 前回はナーティヤ・シャーストラ(Natya Shastra)&アビナヤ・ダルパナ(Abhinaya Darpana)ノートだった。そちらも全然終わらぬ段階でとりあえずこの記事をアップしてしまうのは、今日がクリシュナの…
「日本とドイツ 二つの戦後思想」仲正昌樹 光文社新書 2005 戦争責任をめぐる議論に関して、ドイツのヤスパースが提示した罪の概念が面白い。 ヤスパースは各人が負っている可能性のある「罪」の内容をはっきりさせるために、①刑法上の罪、②政治上の罪、…
もっとも典型的な陰謀論の語り口に「○○は死んでゐる/生きてゐる」というのがある。キム・ジョンウンは死んでゐるとか、マイケル・ジャクソンは生きてゐるとかいうもの。生を否認することで死を捏造し、逆に死を否認することで生を捏造する。否認することに…
昨日のレッスンは生徒さんがわたし含めて5人しかゐなかった。はじまった時なんかふたりだった。そういうときもある。わたしはこの二年、週二回のレッスンを一度も休んだことがない。ヌータン先生が休みで他の方が代行するとき欠席者があからさまに増えるの…
ナーティヤ・シャーストラ(Natya Shastra) アビナヤ・ダルパナ(Abhinaya Darpana) 前回はナティヤ・クラマ(Natya Krama)ノートだった。ナティヤ・クラマとはアビナヤ・ダルパナ(Abhinaya Darpana)というインド舞踊の理論書に出てくる有名なシュロー…
「バーン・アフター・リーディング」2008 アメリカ 監督:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン 出演:ジョン・マルコヴィッチ、ティルダ・スウィントン、ジョージ・クルーニー、エリザベス・マーヴェル、フランシス・マクドーマンド、ブラッド・ピッ…
みずほ銀行からのはがきに「代替え方法」と書いてあった。代替(だいたい)を代替え(だいがえ)と読む/書くことがあるのは知ってゐたが、銀行からの案内というきちんとした場面で出くわしたので驚いた。代替(だいたい)は代替え(だいがえ)に駆逐されつ…
さきほど「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」の読書ノートを書いた。日本は外国から取り入れた概念を十分に咀嚼し、その上で新しい概念を生み出す努力を怠ったと書いてあった。その箇所を筆写しながら、福田恆存の「私の國語教室」を思い出してゐた。 「私…
「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」中公文庫 1991 著:戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎 聞きしに勝る名著だった。三月に(遠い昔のことのようだ!)「日本人の規律について」という文章を書いた。日本人は超越的次元…
「世阿弥 風姿花伝(100分de名著)」土屋惠一郎 NHK出版 2015 こないだ「ナティヤ・クラマ(Natya Krama)ノート」の中で日本には世阿弥の風姿花伝があるという文句を書いておきながら、実は読んだことがなかった。読もうと思った。しかし現代語訳で…
王 ダンスクラスにラジャさんというひとがゐる。ラジャさんは日本が好きで日本語が上手で、ときどきメールの遣り取りをする仲だ。ヌータン先生はラジャさんを呼ぶとき「ヘイ、ラジャ」と言う。名前がラジャさんだから当たり前だ。 それは分かるのだが、ラジ…