2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧
「新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」福岡伸一 新版を買ってよかった。追加された終章では動的平衡の数理的な概念モデル「ベルグソンの弧」が提出される。その記述が実に感動的だ。 福岡氏は生命を「動的平衡にあるもの」と定義する。 生命、自然、環…
「リズムの本質について」ルートヴィッヒ・クラーゲス うぶすな書院 2011 原著は1933年に刊行。リズムを拍子(タクト)と対立的に論じることで、その本質を浮かび上がらせる。 われわれの考察は振り子時計の拍子(タクト)を打ちながらの歩みの現象…
「イスラーム哲学の原像」井筒俊彦 岩波新書 1980 イスラームの根源的思惟形態であるイブン・アラビー系の「存在一性論」について論じる。「序」によれば、存在一性論とは、 『観想によって開けてくる意識の形而上学的次元において、存在を究極的一者と…
「インド哲学10講」赤松明彦 2018 岩波新書 急に秋が深まったようだ。寒い、暗い、おまけに雨が降ってゐる。優れた書物を読んでも、寒い、暗い、おまけに雨が降ってゐるとなれば、ぼくは気鬱だ。アパートの壁が薄く華奢な構造だからこんなに冷えるので…
夏目漱石の「道草」は主人公の、 「世の中に片付くなんてものは殆どありやしない。一遍起つた事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変わるから人にも自分にも解らなくなるだけの事さ」 という印象的なセリフで終わる。 「道草」の前に書かれた「ガラス戸の…
「方舟さくら丸」安部公房 新潮文庫 1990(原著は1984年) 安倍公房の作品を読むのは「砂の女」と、これが二作目。面白かった~ 「人間は本当に自由を求めてゐるのか」「われわれはいつも閉じ込められてゐるのではないか」というモチーフが浮かび上…