手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「白川静 漢字の世界観」松岡正剛

「白川静 漢字の世界観」松岡正剛 平凡社新書 2008 「興」という概念についての記述がとても刺激的だった。 「興」とは「失われた世界観にひそむなにがしかの部分の律動を、メタフォリカルに取り出し、記憶再生を試みる手法」をいう。ここで「失われた世…

「盲獣・陰獣」江戸川乱歩

「盲獣・陰獣」江戸川乱歩 河出文庫 2018 「めくら」「気違い」「女の腐ったような(ひどいな)」など、今だと炎上間違いなしの表現が盛りだくさんだ。ぼくは古い言葉が好きなので、ああ面白いなあと思って読んだけれど。 乱歩の「下品な品の良さ」みた…

「インド史」山本達郎 編

「インド史」山本達郎 編 山川出版社 1960 もう図書館に返さねばならない。読了までかなり時間が掛かった。中世まではすごく面白く読めたけれど、イギリス支配以降はしんどくてほとんど頭に入ってこなかった。記述が細かすぎる。このレベルの詳細な記述…

「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」峰宗太郎 山中浩之

「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」峰宗太郎 山中浩之 日経プレミアシリーズ新書 2020 すごく勉強になった。バランスの取れた良書だと思う。そもそも新型コロナウルスとはどんなものなのか、免疫系の仕組、ワクチンの種類・リスク、PCR…

「フォード vs フェラーリ」

「フォード vs フェラーリ」2019 アメリカ 監督:ジェームズ・マンゴールド 出演:マット・デイモン、クリスチャン・ベイル 大傑作。去年のアカデミー賞はすごい当り年だったんですね。これも最高だった。 マット・デイモンはいつも最高だけれど本作もい…

過渡期

1、 東日本大震災と福島第一原発事故から10年が経った。今でも4万人以上の人が避難してゐる。原子炉に残るデブリ(溶け落ちた核燃料)を取り出すことができるのか、いまだ不明であり、汚染水処理の目途もついてゐない。廃炉までの道のりは遠い。事故の記…

「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク

「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク 1952 光文社古典新訳文庫 2007 訳:池田真紀子 ぼくは宇宙人とか、地球外生命体とか、群体知能とか、人類より高次の存在とか、その種のものを全て信じてゐるので、この小説で書かれてあることがそのまま起…

中島敦の「李陵」

猛獣 中島敦の「李陵」を読み直した。なんど読んでも凄い作品だ。悲劇の武将李陵を中心に、武帝、司馬遷、蘇武の性情と運命を描く。 同じく中島敦の「山月記」に、 「人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。」 という言葉があ…

「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」

「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」2021 日本 原作・脚本・総監督:庵野秀明 こないだ新劇場版の「破」と「Q」を見直して、これをどうやって終らせるつもりだろう、大丈夫かいな、と心配してゐたのだけれど、どうしてどうして、堂々たる完結編だった。感…

「光と風と夢」「北方行」等 中島敦

「中島敦全集 1」「中島敦全集 3」中島敦 ちくま文庫 1993 中島敦の主要作品は「ちくま日本文学」シリーズの12巻に収録されてゐる。ぼくはその中島敦選集が好きで、たぶん3回くらい通読してゐる。漢文調の文体、高い倫理観、気品のある詩情、異国情…

Vaishnava Jana To

先日「ガンディー 平和を紡ぐ人」という本を読んだ。それによれば、ガンディーは塩の行進の際に「Vaishnava Jana To」という歌を歌いながら歩いたという。どんな歌だろうと思って調べてみると、実に美しい歌だった。 Wikipediaの「Vaishnava Jana To」の概要…

「ガンディー 平和を紡ぐ人」竹中千春

「ガンディー 平和を紡ぐ人」竹中千春 岩波新書 2018 ガンディーの評伝。読み終えて、世界は複雑だ、というどうしようもない凡庸な感想をもった。最近そういうことばかり考える。人間・歴史・宗教・国家などについて考えると、あまりに多面的かつ多層的…

「『コーラン』を読む」井筒俊彦

「『コーラン』を読む」井筒俊彦 岩波現代文庫 2013 原著は1983年刊行 花粉と低気圧のダブルパンチでひどい倦怠感だ。こんなふうに頭ぼんやり且つ無気力な状態で一日を過ごすことも、イスラーム的に考えれば、神が望まれたこと、ということになるの…

「すばらしき世界」

「すばらしき世界」2021 日本 監督・脚本:西川美和 原作:佐木隆三「身分帳」 出演:役所広司、仲野太賀 見に行ってよかった。素晴らしい映画だった。役所広司さん、凄すぎです。 社会に適応した「ふつうの人」と社会に適応できない「おかしな人」が出…