手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「福翁自伝」福沢諭吉

「福翁自伝」福沢諭吉 岩波文庫 それからまた、一度やった後で怖いと思ったのは、人をだまして河豚を食わせた事だ。 長い事更新してゐなかったのにあまりに面白いのでつい手が動いてしまった。新しい時代をつくる人物というのはこれくらい猛烈で知的で行動的…

「インド宗教興亡史」保坂俊司

「インド宗教興亡史」保坂俊司 ちくま新書 2022 アーリア人によるヴェーダの宗教以前から存在した土着の宗教 従来の研究では、ダーサなどの土着宗教について明確な言及はされてこなかった。というのも、これらの宗教には、ヴェーダ聖典のようなまとまっ…

タール(Taal / ताल)

タール(Taal / ताल)はインド音楽におけるもっと基礎的な概念のひとつであり、カタックダンスにおいても対概念であるラヤ(Laya /लय)とあわせて必ずいちばんはじめに教わるものである。ここではタール(Taal / ताल)についてまとめておく。 (なぜいまこの…

「音の神秘 生命は音楽を奏でる」ハズラト・イナーヤト・ハーン

「音の神秘 生命は音楽を奏でる」 ハズラト・イナーヤト・ハーン著、土取利行訳、平河出版社 1998 ヴィーナの演奏家で歌手で詩人、総合的音楽家、スーフィズムの西洋への紹介者とある。日本でいえば鈴木大拙とか岡倉天心みたいな位置付けになるのかな。…

試験とお好み焼き2024

ダンス教室の試験、オンラインクラスからの参加者は今年少なかったな。2年次、3年次、4年次がそれぞれ2名づつ。わたしはミタさんとともに3年次の試験を受けた。日本時間の17時から開始の予定だったが、実際にまわってきたのは18時半だった。いつも…

グル‐シシャ・パランパラ(Guru-Shisya Parampara / गुरु-शिष्य परम्परा)

インド舞踊における師弟関係、技藝の伝達方式をグル‐シシャ・パランパラ(Guru-Shisya Parampara / गुरु-शिष्य परम्परा)という。グル(Guru)は師匠、シシャ(Shisya)は弟子、パランパラ(Parampara)は伝統とか継承という意味だ。 ヌータン先生の教室の綱領…

リヤーズ(Riyaaz / रियाज़)ノート

View this post on Instagram A post shared by Aavartan School of Kathak (@aavartanschoolofkathak) www.instagram.com キャプションに Riyaaz Video of Student of Avartan school of Kathak とある。Avartan school of Kathak はヌータン先生が主催して…

クリシュナ十話

ラーダとクリシュナの邂逅Member of the first generation after Nainsukh, Public domain, via Wikimedia Commons クリシュナ(Krishna)ノート を書いてゐる途中、クリシュナにまつわる小話をまとめる段になった。Top 10 Childhood Stories of Lord Krishn…

2023年のこと

世の中のこと 2022年に始まったウクライナでの戦争が継続中である。今年10月にはイスラエル・ハマス紛争が勃発し、ガザ地区では非戦闘員の虐殺が行われてゐる。この数年はのちに第三次世界大戦の序章であったと記述されるのではないかと誰かが言ってゐ…

アーナンダ・ビンドゥ(Anandabindu)ノート

一昨日のレッスンは座学だった。その中でヒンドゥスターニー音楽の「Sum」について「Anandabindu と呼ぶことがある」とキタキ先生が言った。 まづ、Sum とは Taal の始まりの拍のことである。Taal とは拍の周期構成のことである。Sum から始まり Sum に終わ…

「聖と俗 宗教的なるものの本質について」ミルチャ・エリアーデ

「聖と俗 宗教的なるものの本質について」 ミルチャ・エリアーデ 法政大学出版局 1969 神話の主要な機能は、すべての祭儀ならびにすべての人間の本質的活動(食事、性生活、労働、教育)に対する模範的典型を確立することである。人間が人間存在として充…

「日本の税金 第3版」三木義一

「日本の税金 第3版」三木義一 岩波新書 2018 なぜ、「減税」が正義の主張なのだろう。おそらく、税を支払ったことによる恩恵を実感できない政治が行われているからであろう。 キャプションに記したあとがきの言葉に尽きる。政治がひどすぎるのだ。過去…

5歳🎊

11月8日、チャコの5歳の誕生日。早いものだな。チャコがうちに来たのは2021年の8月末、そのときは2歳だった。冬の入口が誕生日、小岩で三度目の冬を迎え、ことしチャコは5歳になった。ヒト年齢に換算するとわたしを抜いてしまったのかな。 けれど…

「名著誕生『コーラン』」ブルース・ローレンス

「名著誕生『コーラン』」ブルース・ローレンス 訳:池内恵 ポプラ社 2008 「すべての徴には外面と内面があり、限界と可能性がある」ムハンマド 「解釈」の学。 時間が経つとコーランの時代のアラビア語が分からなくなる。だから解釈が必要となる。また…

「ヒンドゥー教の聖典二篇 ギータ・ゴーヴィンダ デーヴィー・マーハートミャ」

「ヒンドゥー教の聖典二篇 ギータ・ゴーヴィンダ デーヴィー・マーハートミャ」 小倉泰、横地優子 訳注 平凡社 2000 「ギータ・ゴーヴィンダ」クリシュナとラーダーの性愛が絶頂に達する場面。 ギータ・ゴーヴィンダ 解説から引く。 牛飼いの乙女ラーダ…

「加藤周一著作集8」

「加藤周一著作集8」加藤周一 平凡社 1979 理想主義がないということと、現状を現状であるからという理由で容認するのとは同じことである。 天皇制を論ず 1946年 敗戦の翌年に書かれた文章。加藤は27歳とまだ若い。天皇制を速やかにやめねばならない…

ダシェラ(Dussehra)ノート

教室仲間のウマ(Uma)さんがシェアしたもの。 クリシュナ(Krishna)ノートがまだ終ってゐない。書いてゐるうちに話がひろがってしまいそんなつもりなかったのに構成なんか考えだしていたづらに長くなる。これはいけない。ダシェラ(Dussehra)ノートはもう…

「訂正可能性の哲学」東浩紀

「訂正可能性の哲学」東浩紀 ゲンロン 2023 まづ第一部、ウィトゲンシュタインとクリプキの読み替えによる「家族」概念の再定義がベラボーに面白い。そして今度はその議論をふまえてルソーの読解を行う第二部がこれまた圧倒的に面白い。じつはさっきの概…

「加藤周一著作集7」

「加藤周一著作集7」加藤周一 平凡社 1979 学校の教科書で読んだ雑種文化論を二十年ぶりに読み返したくなって書庫から出してもらった。著作集前半におかれた日本文化の雑種性を論じたいくつかの論文よりも、後半の「戦争と知識人」や「日本人の外国観」など…

宮爆鶏丁!!

我太喜欢宫爆鸡丁了。(宮爆鶏丁が大好きです) 先週につづいて宮爆鶏丁をつくった。前回は日本人が紹介するレシピを参考にしたために麻(マー)と辣(ラー)が足りずいくぶん頼りない宮爆鶏丁になってしまった。その反省を活かし、今回は中国人が中国人向け…

「日本二千六百年史」大川周明

「日本二千六百年史」大川周明 毎日ワンズ 2017 大川周明は昔の凄い知識人のひとりだ。語学に堪能で、万巻の書を読破し、日本ではじめてコーランの全訳をしたひと。間違いなく破格の人物である。敗戦後には民間人としてただ一人、極東国際軍事裁判でA級戦犯…

宮爆鶏丁!

写真はまづいが、味は悪くなかった。 宮爆鶏丁(ゴーンパオチーティン)をつくった。Wikipediaや百度百科で調べると「宮保鶏丁」という表記のほうが一般的みたいだけれど、わたしは「爆」の字が入ってゐるほうが景気がいい感じがしてテンションが上がるので…

「観光客の哲学 増補版」東浩紀

「観光客の哲学 増補版」東浩紀 ゲンロン 2023 「観光客の哲学」に犬の話が出てくる。 家族という言葉は、いまの日本ではじつは、ここまで見てきた意味よりもさらに柔軟に使われている。というのは、最近では、犬や猫のようなペットも「家族」と見なされ…

インボイス制度私感

いよいよインボイス制度が導入される。わたしは昨年職業訓練学校に通って簿記2級を取得し、現在某流通関係の中小企業で派遣社員として就業中の駆け出し経理マンである。駆け出しなのでたいした仕事はしてゐないが、インボイス制度のためにあれこれ事務処理…

「仁斎・徂徠・宣長」吉川幸次郎

「仁斎・徂徠・宣長」吉川幸次郎 岩波書店 1975 伊藤仁斎と荻生徂徠と本居宣長についての論文を集めたもの。宣長に関する二篇は「本居宣長」で既読であったため読まなかった。いや再読したい気持ちはあったが時間がなくて読めなかった。 江戸川区の図書…

「天皇とアメリカ」吉見俊哉、テッサ・モーリス-スズキ

「天皇とアメリカ」吉見俊哉、テッサ・モーリス-スズキ 集英社新書 2010 頭がぼんやりしてゐる。頭がぼんやりしてゐるのは昨夜寝つけなくて1時くらいに睡眠導入剤を飲んだからである。わたしはちょっと睡眠時間が足りないと活動できなくなり抑鬱的な気…

「13歳からの天皇制」堀新

「13歳からの天皇制」堀新 かもがわ出版 2020 憲法における天皇の位置付け 大日本帝国憲法の1条に「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とある。その根拠は神話である。 告文に「皇宗ノ神霊ニ誥ケ白サク皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ宝祚ヲ承…

クリシュナ(Krishna)ノート

クリシュナ・ジャンマシュタミ(Krishna Janmashtami) 前回はナーティヤ・シャーストラ(Natya Shastra)&アビナヤ・ダルパナ(Abhinaya Darpana)ノートだった。そちらも全然終わらぬ段階でとりあえずこの記事をアップしてしまうのは、今日がクリシュナの…

「日本とドイツ 二つの戦後思想」仲正昌樹

「日本とドイツ 二つの戦後思想」仲正昌樹 光文社新書 2005 戦争責任をめぐる議論に関して、ドイツのヤスパースが提示した罪の概念が面白い。 ヤスパースは各人が負っている可能性のある「罪」の内容をはっきりさせるために、①刑法上の罪、②政治上の罪、…

芥川龍之介の陰謀

もっとも典型的な陰謀論の語り口に「○○は死んでゐる/生きてゐる」というのがある。キム・ジョンウンは死んでゐるとか、マイケル・ジャクソンは生きてゐるとかいうもの。生を否認することで死を捏造し、逆に死を否認することで生を捏造する。否認することに…