手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

2019-01-01から1年間の記事一覧

結婚披露宴 祝辞

先日、奈良は猿沢池のほとりのとある会場で、友人の結婚式および披露宴に出席した。 ぼくは光栄にも新郎の友人代表祝辞という大役を仰せつかった。 緊張したが、なんとかその任を務めることができた。 結婚式というのはよいものですね。じーんときた。 ここ…

高次の政治・永遠という時間・政治は愛

ローマ教皇フランシスコが11月23日に来日し26日まで滞在した。 教皇の来日に関心をもったのは、以下のラジオを聞いて感銘をうけたからだ。 これは!と思ったので、ゆっくりと二度聞いた。もう一度聞くと思う。 これは火鉢クラブの中村有里、政治学者の中島岳…

「フレンチアルプスで起きたこと」

「フレンチアルプスで起きたこと」2014 監督:リューベン・オストルンド 出演:ヨハネス・バー・クンケ、リーサ・ローヴェン・コングスリ めちゃめちゃ面白かった。 緊張して、大笑いして、う~んと考えて、え!ってなって、 最終的に、よくできた映画だ…

「日本語の近代」小森陽一

「日本語の近代」小森陽一 岩波書店2000 <本書を執筆する全課程は、自らの「日本語の近代」をめぐる既得権益を解体しつづける営みとなった。> と「あとがき」にある。 「国語」とのしての「日本語」は自明の存在ではなく、日本が近代国家として出発する…

「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」

「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」2017 監督:クレイグ・ガレスピー 出演:マーゴット・ロビー、セバスチャン・スタン ものすごく残酷で悲惨で、人間の下劣な面を存分に見せてくれる映画なのだけれど、マーゴット・ロビー演じるトーニャ・ハー…

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

「わたしは、ダニエル・ブレイク」2016 監督:ケン・ローチ 出演:デイブ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ ドシンときた。 今ぼくらが生きてゐる世界、社会、システムに対する怒り、義憤が伝わってくる。 うまいこと適応してるつもりの小利口で軽…

「ブルックリン」

「ブルックリン」2015 監督:エモリー・コーエン 出演:シアーシャ・ローナン、エモリー・コーエン トミーが「I love you」と言い、エイリシュが「I ....」と言いかけるも、最後まで言わず、「とてもうれしいわ」と返す。 そういう逡巡ってとても素敵だ…

「ベテラン」

「ベテラン」2015 韓国 監督:リュ・スンワン 出演:ファン・ジョンミン、ユ・アイン、オ・ダルス 最高。 めちゃめちゃ面白い。 こういう勧善懲悪、痛快無比、そして権威に立ち向かう反骨の映画がつくられて、しかも観客動員数1300万人突破のウルト…

「ターミネーター:ニュー・フェイト」

「ターミネーター:ニュー・フェイト」2019 監督:ティム・ミラー 出演:リンダ・ハミルトン、アーノルド・シュワルツェネッガー、マッケンジー・デイヴィス とてもよかった。 三作目と四作目の評判が悪くて、それをなかったことにして「ジェネシス」で…

壬生菜の漬物

昨日、野沢菜の漬物のことを書いた。 熱い茶漬けのおともに野沢菜の漬物がうまいと。 野沢菜もよいが、ぼくは壬生菜の漬物が一番好きである。 壬生菜の壬生とは京都の地名であり、壬生菜はいわゆる京野菜だ。 壬生菜の漬物は関西では一般的だと思うが、関東…

「大人のためのメディア論講義」石田英敬

「大人のためのメディア論講義」石田英敬 ちくま新書 2016 感想を書くために線を引いた箇所を読み返してゐたら、「思いつき」ってすごく本質的なことだということに気がついた。 「思いつき」というのは「ひらめき」であり、「ひらめき」というのは知性…

「滅びゆく日本へ 福田恆存の言葉」佐藤松男 編

「滅びゆく日本へ 福田恆存の言葉」佐藤松男 編 2016 河出書房新社 全集、対談、講演等から集めた福田恆存の語録。 福田語録は他に「日本への遺言」がある。こちらもよい。 編者のあとがきによれば、両語録の重複は二割程度とのこと。 福田の慧眼恐るべ…

フィギュアスケートのジャンプについて

こんなニュースを見た。 1980年五輪銀メダリストのマリーナ・チェルカソワという人が、 「女子はフリーでも4回転ジャンプを禁止すべきです。男子はさらに進化しなければなりません」 「女性らしい、美しいスケーティングを見たい」 と言ったらしい。 女子シ…

辺野古新基地建設 備忘

辺野古の新基地建設問題について備忘のために記す。 10月24日、以下のような報道があった。 社説[辺野古訴訟却下]政府に追随した判決だ | 社説 | 沖縄タイムス+プラス 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の…

「人間の生き方、ものの考え方」福田恆存

「人間の生き方、ものの考え方」福田恆存 文藝春秋 2015 福田恆存はぼくが唯一、全集を最初から最後まで全部読んだ作家。「福田恆存全集」と「福田恆存翻訳全集」はぼくの宝物だ。災害など起ったらこれだけは抱えて逃げなくてはならないと思ってゐる(ダ…

「バカの壁」養老孟司

「バカの壁」養老孟司 2003 新潮新書 これが大変おもしろかった。 今年の講演、御年81歳、まことに壮健なことで嬉しい限りです。 話は面白いし、語り口はおだやかで、声がとっても暖かくてやさしい。 人柄が出てるなあ。 すごく癒された。 久しぶりに…

「現代思想の教科書」石田英敬

「現代思想の教科書」石田英敬 2010 ちくま学芸文庫 「現代思想」いうのはたとえばソシュールとかフーコーとかレヴィ・ストロースとかラカンとかそういう人達がつくりだした知のことを言う。 で、「現代思想」やってますと言うと、彼等の書いた本を読み…

「恩赦」にピンとこない。

「恩赦」が実施されるそうだ。 政府、55万人を恩赦へ=即位合わせ、18日閣議決定:時事ドットコム 政府は天皇陛下の即位を内外に宣言する22日の「即位礼正殿の儀」に合わせ、約55万人を対象に恩赦を行う方針を固めた。西村明宏官房副長官が15日の…

「合本 挨拶はたいへんだ」丸谷才一

「合本 挨拶はたいへんだ」朝日文庫 2013 友人の結婚式で祝辞をのべることになって、どうしたものかと思い、そういえば丸谷さんのスピーチをあつめた本があったよな、と調べたらこれを見つけて、読んでみた。 この人はあんまり文章が上手すぎてそのへん…

「じゃじゃ馬ならし」シェイクスピア

「じゃじゃ馬ならし」1592~4 翻訳:福田恒存 福田恒存翻訳全集・第四巻「シェイクスピア篇Ⅰ」所収。 福田の解題によれば、これは共作であるらしい。 間違ひなくシェイクスピアの筆と見なされるのは、最初の序劇とペトルーキオー=カタリーナの場面とを…

嗚呼、養老先生!

昨日、ダンスの練習をしてゐて、どうもうまくいかなかった。 進歩はあったのだけれど、もっとできると思ってゐたのに、その期待を下回ってしまった。 なんとなく気分が、調子がでなかったのである。 これはなぜと言うに、自分の感覚よりも、決め事を重視して…

夢でタイに行った。

夢でタイに行ってきた。 友人の結婚式のためらしい。 詳細はよく覚えてゐないが、とにかく、小さいがとても清潔な宿に泊まった。 風通しのいい部屋で、タイ人と、高校時代の友人と雑魚寝をした。 とても美しい海だった。 あのような美しい海が、実際のタイに…

ムチのような身体

www.youtube.com アクラム・カーンが、彼のグル・Pratap Pawar氏と短い振りを躍るシーンがある。 9:15頃から。 二人の動きの違い、身体運用法の違いがよくわかる。 Pratap Pawar氏は、そのステップの力強さに凄まじいものがあり、まるで稲妻が大地に突き…

「タイタス・アンドロニカス」シェイクスピア

「タイタス・アンドロニカス」1593 翻訳:福田恒存 福田恒存翻訳全集・第四巻「シェイクスピア篇Ⅰ」に所収。 福田の解題によれば、これは誰か別の作家が書いたものにシェイクスピアが手を加えた作品とのこと。 作者生存中には人気がありながら、死後これ…

「世界がわかる宗教社会学入門」橋爪大三郎

「世界がわかる宗教社会学入門」2006 ちくま学芸文庫 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教について、わかりやすく解説されてゐる。 個人的には仏教についての記述が一番面白く読んだ。情報量が多いから一読ではとうてい把握できない。 また「…

「自分と未来のつくり方」石田英敬

「自分と未来のつくり方」2010 岩波ジュニア新書 東浩紀さんとの共著「新記号論」を読み、石田氏のことを知った。 「新記号論」はもの凄い本だ、ということは分かるのだが、これがたいへんむづかしく、消化不良に終わってしまったので、再読リストに入れ…

「リチャード三世」シェイクスピア

「リチャード三世」1592~3 翻訳:福田恒存 一 井上ひさしの「天保十二年のシェイクスピア」が再演されると知り、長いこと積読にしてゐた福田恒存翻訳全集のシェイクスピアを読もうと決意。 第四巻から第七巻までがシェイクスピア篇となってゐて、全部…

北朝鮮の空

「我在朝鲜最高学府留学,度过了魔幻与现实的193天」という題の文章を読んでゐる。 慧琦という名の中国人女子学生が、北朝鮮の最高学府である金日成総合大学に留学した。そのことを書いた留学記だ。その中にこんな記述がある。 我自己平时很喜欢散步,我记得…

「増補版 日朝関係の克服」姜尚中

「増補版 日朝関係の克服ー最後の冷戦地帯と六者協議」2007 集英社新書 12年前の本だから、最新の情勢について知ることはできないけれど、日朝関係や戦後体制について基底となる知見について多く語られてゐるので、今読んでもやはり有用。 例えば、次…

アクラム・カーン、ソロ作品をもう作らないってよ。

"I’m about to retire from doing full-length pieces & my body can feel the backward movement. I can feel it pulling me backwards, into being a child. Closer to birth, means closer to death. But as the body retreats, I’m unlocking the mind."…