手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

2019-01-01から1年間の記事一覧

「平成時代」吉見俊哉

「平成時代」2019 岩波新書 平成の三〇年間を「失敗の時代」として、経済・政治・社会・文化、それぞれの領域から論じる。 本格派の、とても勉強になる良書だった。いや、名著と言いたい。 こんなにいい本が900円で手に入る日本の書籍文化は素晴らし…

Mohan Sistersのダンス。

インド人がいかに自分達の文化を愛してゐるか、大事にしてゐるか、また現代に生かす工夫を楽しんでゐるかがよく分かるダンス。 これを見て、すごく感動して、もう何百回も見た。 こういうダンスが一番好きだ。 躍ってゐるのはShakti MohanとMukti Mohanの二…

「韓国 内なる分断」池畑修平

「韓国 内なる分断 葛藤する政治、疲弊する国民」2019 平凡社新書 最近、友人が泊まりにくることがあって、その際、日韓関係について話をした。 ぼくはお互い妥協して、なんとか落としどころを探り、友好関係の構築に努力すべきだという考えだ。 友人は…

「お金がない」のではない。「not afford」なんだ。

ぼくはいつもお金がなくてヒイヒイ言ってる。 貯金なんて出来たことがあったかしら? 入ったものは、基本、すべて出ていく。 宵越しの金は、持たない(持てない)。 要するに収入が低いということなんだが、なぜ収入が低いかについて書きたいわけではない。 …

「日米安保解消への道」取留重人

「日米安保解消への道」1996 岩波新書 最近ぼくは真剣に、日米安保の解消を目指す、あるいは、それを真剣に考慮にいれて、日米同盟を根幹から問い直さなくてはならないと思ってゐる。 安倍政権が登場するまでは、ぼくもふつうに「日米同盟が基軸というの…

「どんなことが起こってもこれだけは本当だ、ということ。-幕末・戦後・現在-」加藤典洋

「どんなことが起こってもこれだけは本当だ、ということ。-幕末・戦後・現在-」 2018 岩波ブックレット 2017年に著者が行った講演に加筆修正したもの。 薄っぺらいのですぐ読める。 けれど内容は、濃く、深い。 加藤は日本が幕末に成し遂げた明治…

「ルバイヤート」オマル・ハイヤーム

「ルバイヤート」オマル・ハイヤーム 小川亮作訳 岩波書店 オマル・ハイヤームは11世紀ペルシアの詩人。 11世紀だからペルシアはとうにイスラーム化してゐるのだが、この詩人は酒のことばかり歌ってゐる。 たとえばこんな具合に。 魂よ、謎解くことはお…

「村上春樹は、むずかしい」加藤典洋

「村上春樹は、むずかしい」2015 岩波新書 村上春樹1979年のデビューから2013年の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」までの全活動を網羅的にとりあげて論じてゐる。 こんなに深く読めるものなんだと批評家の読みの深さに驚く。 こと…

中島敦の描いた孔子

中島敦の「弟子」の一節をときどき思い出す。 孔子と子路を描いた小説だ。 その箇所だけを読み返したら、やっぱり素晴らしくて感激した。 こんなの。 このような人間を、子路は見たことがない。力千鈞の鼎を挙げる勇者を彼は見たことがある。明千里の外を察…

「マホメット」井筒俊彦

「マホメット」1989 講談社学術文庫(原著は1952年) 丸谷才一がどこかで「偉い学者の書いた薄い本を読め」みたいなことを言ってゐた。 本を読むからには再読三読に値するような名著を読むべきだし、そのためには薄いほうがよい。偉い学者の書いた薄…

「羊をめぐる冒険」村上春樹

「羊をめぐる冒険」1982 講談社 「騎士団長殺し」が面白かったので、初期の代表作「羊をめぐる冒険」を10年くらいぶりに再読。 この作品から村上春樹の「物語」がはじまる。 読んでびっくり、満州とか、「引き継ぎ」とか、そういうモチーフがもうここ…

好きな歌 斉藤茂吉

「斉藤茂吉歌集」を折にふれ、読む。 どの頁を開いても、いいなあと、思う。 昔、ワードにメモした好きな歌をアップしておく。 斉藤茂吉(1882~1953) 「赤光」 「あらたま」 「つゆじも」 「遠遊」 「遍歴」 「ともしび」 「たかはら」 「連山」 …

「やさしい神さまのお話」中田考 中田香織

「やさしい神さまのお話」2008 ムスリム新聞社 このページで読んだ。たぶん、全文だと思う。 検索した限り、購入することはできないようだ。 おそらく、絶版になってしまったので、中田先生が自身のHPにあげたのだろう。 この本の成り立ちが面白い。 …

「騎士団長殺し」村上春樹

「騎士団長殺し」2017 新潮社 2年前、発売直後に読んで、今回、再読。 最近、村上春樹がどうも変わってきたのかな?と思ったから。 ラジオに出た。 こないだ公開収録で「90歳までがんばります」みたいなことを言ったというのがニュースになってゐた。…

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」2012 監督:アン・リー 主演:スラージ・シャルマ ネタバレ有です。 この映画は主人公がラストに行う告白により、そこまで見てきた印象がガラっと変わってしまうように出来てゐるので、未見のかたはこの先を読ま…

「クルアーンを読む」中田考 橋爪大三郎

「クルアーンを読む」2015 太田出版 イスラーム学者の中田考氏が監修した「日亜対訳クルアーン」が2014年に出版された。それを社会学者の橋爪大三郎氏が高く評価されたことから、二人の対談が企画され、それが書籍化されたのが本書だ。 橋爪氏のまえ…

「一神教と戦争」橋爪大三郎 中田考

「一神教と戦争」2018 集英社新書 橋爪 世界を見渡してみると、核保有国の大半は一神教の国です。そうでない国はインドと中国だけです。世界がどうすれば破滅しないで済むか。「最後の審判」の日を迎えないで済むか。そのカギは、核、戦争、一神教、これ…

「イスラームとの講和」内藤正典 中田考

「イスラームとの講和 文明の共存をめざして」2016 集英社新書 西欧とイスラームとの関係について、私は、もはや両者の関係は「水と油」で、どこまでいっても交わることのないものであるという現実を一度、直視したうえでないと衝突を抑止できない考えて…

「イスラーム 生と死と聖戦」中田考

「イスラーム 生と死と聖戦」2015 集英社新書 従うことがイスラームですが、何に従っているのかというと、現代社会では、いまの人間はイスラーム国の国民であろうがあるまいが、すべて国家に従っている。戦争にしろ、刑罰にしろ、直接的に物理的な力を最…

「世界はこのままイスラーム化するのか」島田裕巳 中田考

「世界はこのままイスラーム化するのか」2015 幻冬舎新書 無限の絶対者と対峙したときに有限なる自己が無にすぎないことを知り、同時のその自己の無性こそが無限の超越者への通路であることを悟ること、イスラームを学ぶことの本当に意味はそのことにの…

「イスラーム入門」中田考

「イスラーム入門ー文明の共存を考えるための99の扉ー」2017 集英社新書 「入門」とあるけれど、イスラームに関心のない人、これまで一冊もイスラーム関係の本を読んだことがない人からしたら、かなり詳細で、場合によっては読み通せないかもしれない…

「となりのイスラム」内藤正典

「となりのイスラム」2016 ミシマ社 すごくよい本。 イスラームって何?どんなの?内戦とかテロとか多すぎぢゃない?と思ったら、まづこれを、とすすめたい。 読みやすくて、先生が体験したトルコやシリアでのエピソードは愉快で、また奥深いものばかり…

「来るべき民主主義」國分功一郎

「来るべき民主主義」2013 幻冬舎新書 著者は「議会制民主主義には単純な欠陥がある」という。 それは現代の民主主義において主権者である国民は、選挙を通じて議会に代議士を送り込むことを通じて、部分的に、立法権に関わることができるだけであり、統…

「一神教と国家」内田樹 中田考

「一神教と国家」2014 集英社新書 面白い。 メモ。 中田 はい。たとえば、有名な「目には目を、歯には歯を」という言葉がありますね。あれ、単純な復讐法だと思っている人が多いのですが、厳密にはそうではなくて、イスラームの場合はあくまでも許すのが…

「みんなちがって、みんなダメ」中田考

「みんなちがって、みんなダメ」2018 KKベストセラーズ 口述筆記だから軽く読める。 軽く読めて、中田考先生の驚くべき学識、イスラーム的な世界の見方・生き方に触れることができる。しかし、この本の読みどころは、あらゆる権威をけちょんけちょんに…

「イスラム 癒しの知恵」内藤正典

「イスラム 癒しの知恵」集英社新書 2011 イスラームの勉強を始めて一か月。その程度だから、その程度しか知らないのだが、その程度なりのことが分かりはじめてゐる。 日本で生まれ育ち、葬式仏教と初詣神道しか知らない、じっしつ「無宗教」で生きて来…

「からだに貞く」「おもさに貞く」野口三千三

「からだに貞く」1977 「おもさに貞く」1978 春秋社 野口三千三の「原初生命体としての人間」(1972年刊行)を数年前に読んで衝撃を受けた。 再読しようかなあと思ってゐて、その前に他の本も読んでみようと「からだに貞く」および「おもさに貞…

「私はなぜイスラーム教徒になったのか」中田考

「私はなぜイスラーム教徒になったのか」2015 太田出版 私としても、現世的には「なってよかった」ことは何もありません。あったとすれば、なにもいいことがなくても平気になったということくらいでしょうか。ですから、ぜひムスリムになりましょう。す…

「イスラムが効く!」内藤正典 中田考

「イスラムが効く!」2019 ミシマ社 かなりいい。イスラームってほんとにいい宗教だなあと思った。 これからイスラームについて勉強することに決めた。 入信までは考えないけれど、人類の知恵として、論語やプラトンを読むように、クルアーンやハディー…

ムンバイ3泊一人旅

5月1日 朝、成田空港に向かう。ムンバイへの直行便、ありがたい。ANAの機内食、豪華。スプーンやフォークなども良いもの。 10時間のフライト、長い。機内で「グレイテスト・ショーマン」「スパイダーバース」を見る。 夕方到着し、タクシーでホテルへ。…