手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年のこと

年の瀬である。 2022年はひどい年だった。世界も日本も、今年はとてもひどい年だったと思う。具体的になにが起ったかを記憶にとどめておくために、自分なりに思うところを書いておこうと机に座った。でも無理だった。 数時間ねばっていろいろ書いた。け…

手作り漢字表(日曜大工🛠️)

ちょっと検索すれば、何万もの漢字を表示できるソフトウェアや、異体字を網羅的に集めたウェブサイトを見つけることができる。国境を越えた文字コードの統一規格である Unicode は世界中の文字を吸収すべく拡張を続けてゐる。 この文章を書いてゐるパソコン…

芥川龍之介全集ノート

芥川龍之介全集 昭和2年 岩波書店 春に読み始める。 昔かなりの安値で見つけて購入して積読になってゐたのをわけもなくちょっと読んでみるかと思ったらしい。人間暇だと妙なことを考える。 全集は全七巻と別巻一冊。小説作品を収めた一巻から四巻まで頭から…

「戦艦大和ノ最期」吉田満

「戦艦大和ノ最期」吉田満 講談社文芸文庫 1994 世界海戦史上、空前絶後ノ特攻作戦ナラン 43頁 戦況 沖縄本島ノ戦況ニ関シテ大本営発表アリ 上陸米軍ハ着々戦果ヲ拡大シツツアルモノノ如シ コノママニ推移セバ、最後の血塁ト頼ム沖縄本島モ、失陥ハタ…

献血

日本赤十字社「ラブラッド」から「血が不足してゐます」とメールが来た。コロナ禍からこっち献血するひとが減ってゐるのにくわえて、年末年始は特に不足するらしい。 無職で暇だし、健康だし、ひとの役に立つことでもしてみるか、ということで行くことにした…

「月と六ペンス」モーム

「月と六ペンス」モーム 新潮文庫 1959 訳:中野好夫 訳者の中野好夫が解説で「モームくらい安心して通俗作家だと言える作者は珍しかろう」と書いてゐる。そうなのか、モームってそんなに通俗なのか、と思って読んだみたら、想像以上に通俗でびっくりし…

「戸締まり」と「戸締り」ー送り仮名はなぜ伸び縮みするかー

送り仮名いろいろ 送り仮名は価値中立的・非政治的 【漢字(意味)+仮名(読みを示唆)】=語 「示唆」ということ 手書きとワープロ書き 村上春樹の送り仮名 自然な感覚 送り仮名いろいろ 新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」が大ヒット公開中である。…

「新海誠論」藤田直哉

「新海誠論」藤田直哉 作品社 2022 新海誠監督が柄谷行人の「日本近代文学の起源」を読んで風景を描く手法に影響を受けたと書いてあって驚いた。なるほどそう言われるとたしかにそんな感じだ! というかまさにそれだよ! 最近柄谷さんの「力と交換様式」…

「言の葉の庭」

「言の葉の庭」2013 日本 監督:新海誠 声:入野自由、花澤香菜 www.youtube.com 新海誠監督の新作「すずめの戸締まり」を見たいと思っていま友達と日程調整をしてゐるところ。どんなかな。楽しみ。 「言の葉の庭」がAmazonプライムに入ってゐたので見て…

「RRR」

「RRR」2022 インド 監督:S・S・ラージャマウリ 出演:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア、ラーム・チャラン、アーリヤー・バット 他 www.youtube.com ラージャマウリ監督の撮る決め絵とスローモーションのかっこよさは異常。しかもそれがただ動きとして…

「心臓を貫かれて」マイケル・ギルモア

「心臓を貫かれて 上・下」マイケル・ギルモア 文春文庫 1999 翻訳:村上春樹 悲惨な事件が起ったときぼくたちはなぜこんなことになったのかと問う。いったいどこで間違えたのか、どの時点でこうなることが確定したのか、どこまで遡りなにをどうやり直せ…

「ウエスト・サイド・ストーリー」

「ウエスト・サイド・ストーリー」2021 アメリカ 監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、デヴィッド・アルヴァレス、マイク・ファイスト 他 www.youtube.com 本作を劇場で見なかった…

おてての掃除

イヌが自分のからだを舐めてきれいにするのを見るのはおもしろい。肉球のあいだに舌を入れてペロペロしたり、爪をかるく噛んでチュウチュウしたりするのがおもしろい。こういうときイヌはなにを考えてゐるのだろう。どのような認知によってこの掃除がはじま…

「マッキー」

「マッキー」2012 インド 監督:S・S・ラージャマウリ 出演:スディープ、サマンサ・ルス・プラブ、ナーニ 他 www.youtube.com こんど大ヒット上映中の「RRR」を見に行くつもりなので S・S・ラージャマウリ監督の2012年の作品「マッキー」をアマ…

ミーティング

昨日の夜、インド時間午後7時、レッスンの進め方についてのミーティングに参加した。二日前にヌータン先生から、みんなに相談したいことがあるので金曜の夜にわたしのズームリンクに訪問するように、とグループ全体に向けて連絡があった。 内容はオンライン…

うんち🐶

チャコが自分からケージに入ってシートの上にウンチをした。 散歩に行くのが分かってゐるからふだんは部屋でトイレをしないのだけれど、我慢できなかったのだろう、仕事から帰って部屋でちょっとボール投げをして体を動かしたら、した。ぼくが誘導せずにケー…

「力と交換様式」柄谷行人

「力と交換様式」柄谷行人 岩波書店 2022 政治的・観念的な上部構造は生産様式ではなく交換様式によって決定される。 交換様式には以下の四つがある。 A 互酬(贈与と返礼) B 服従と保護(搾取と再分配) C 商品交換(貨幣と商品) D Aの高次元で…

「グレート・ギャツビー」スコット・フィッツジェラルド

「グレート・ギャツビー」スコット・フィッツジェラルド 中央公論新社 2006 映画はロバート・レッドフォード版とレオナルド・ディカプリオ版と両方見てゐたけれど、小説を読むのはこれが初めてだった。村上春樹さんの翻訳が出てああ読みたいという気持ち…

「ティファニーで朝食を」トルーマン・カポーティ

「ティファニーで朝食を」トルーマン・カポーティ 新潮文庫 2008 翻訳は村上春樹。表題作の他に「花盛りの森」「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」の三つの短編を収める。 カポーティが好きな友人にすすめられて、学生時代に「夜の樹」とい…

4歳🎊

11月8日、チャコの4歳の誕生日。 この日は火曜日で普通に仕事があったので、6日の日曜日にちょっと遠くの公園に遊びに行った。なんて美しい犬だろう。遠くを見つめる姿が特にいいのです、チャコは。 View this post on Instagram A post shared by Chac…

おしっこ🐶

チャコがケージを開けたままでもおしっこできるようになった、あるいはするようになった。 部屋でするときはこれまで必ずケージを閉めてしばらく放置しておくとようやくする感じだった。それがこちらからそう仕向けたわけでもなく自分からやりだした。不意の…

「インド神話 マハーバーラタの神々」上村勝彦

「インド神話 マハーバーラタの神々」上村勝彦 ちくま文庫 2003 インド神話は複雑だ。まづ紀元前1500年頃にインド亜大陸に侵入したアーリア人による「リグ・ヴェーダ」がある。そしてその背景となる神話が忘れられたところに、首尾一貫した物語を再…

「ang kavya」の附録

今年亡くなったカタックの伝説的人物、ビルジュ・マハラジは2002年に「ang kavya - nomenclature for hand movements and feet positions in Kathak - 」という本を出版してゐる。カタックで使用する手と足の所作について、写真つきで名前を示し、動きを…

Dussehra 2022

10月5日、インドは Dussehra 祭りだったそうだ。それでダンスレッスンは休みになった。Dussehra は1992年刊の「南アジアを知る事典」では「ダシャラー」で項を立ててゐる。 アーシュヴィン月(9~10月)の満月に向けて10日間行われる。秋の始まりを…

「ハウス・オブ・グッチ」

「ハウス・オブ・グッチ」2021 アメリカ 監督:リドリー・スコット 出演:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ 、アル・パチーノ www.youtube.com 楽しかった~。最高。大好きです。 グッチなんて自分と縁の…

鎌倉

友人Kさんを訪ねて鎌倉へ行ってきた。Kさんはこれまで目白に住んでゐたが6月に鎌倉に転居した。パートナーと二人で住んでゐる。職場は都内なので通勤にはけっこうな時間がかかるが、週の半分はリモートワークができるため問題ないらしい。通勤のしんどさ…

修了

職業訓練 4月から職業訓練制度を利用して某民間の資格学校の財務管理科で約半年間学んできた。全日程を終え、9月26日(月)に修了式をむかえた。 カリキュラムは簿記を中心に、消費税、法人税、社会保障、ワード、エクセル、パワーポイント、会計ソフト…

日本語表記と歴史意識

はじめに 背景 国語改革 歴史、アイデンティティ、言語表記 正統ということ 漢字 漢字全廃のための字数制限 表内/表外という構図 仮名遣い 仮名で語を書く 変わりゆく音、変わらない文字 つづりと時間 「日出づる国」か「日出ずる国」か まとめ 言葉や文字…

「現代思想入門」千葉雅也

「現代思想入門」千葉雅也 2022 講談社現代新書 発売直後に読んで感激して、ちょっと時間をあけて先日再読した。そうしていまこの記事を書くにあたり線を引いた箇所を読み返して、ううむなんて深いんだと改めて感じ入ってゐる。抽象的なことばで考える哲…

「暇と退屈の倫理学」國分功一郎

「暇と退屈の倫理学」國分功一郎 新潮文庫 2021 ハイデガーの退屈論における「退屈の第二形式」には驚嘆した。國分さんが繰り返し「すぐれた発見である」と強調するのもわかる。そこを読んだところで、あまりに興奮したから、散歩に出てしばらく考えてし…