アクラム・カーンが、彼のグル・Pratap Pawar氏と短い振りを躍るシーンがある。
9:15頃から。
二人の動きの違い、身体運用法の違いがよくわかる。
Pratap Pawar氏は、そのステップの力強さに凄まじいものがあり、まるで稲妻が大地に突き刺さるかのようだ。
胴体は太く、大きく、山のように、微動だにしない。
上半身は完全に筒のように安定してをり、分厚い背中のわづかな動きにより、腕を振ってゐる。
完全にカタック仕様の身体、という感じがする。
他方、カタックからコンテンポラリーに進んだアクラム・カーンの身体は、どんな動きでもやすやすとこなせるであろう汎用性を想像させる。
どういう訓練をしたらこういう動きができるようになるのだろうか。
全身がムチのように、しなり、強く、速く、鮮明だ。
野口三千三は名著「原初生命体としての人間」で、次のように書く。
むちの構造は、草や木の構造はもちろん、下等動物といわれるものから人間にいたる、すべての動物の基本構造で、この構造の複雑な組合せによってできているのである。
きっとアクラム・カーンは常人が意識できないような、細かなレベルで、それこそ一つ一つの細胞をムチのように動かすことができるのだろう。