夕方、散歩に出た。江戸川の土手に若い男二人がしゃがみこんでゐるのを見つけた。たぶん高校生くらいだろう。便所座りになってじっと地面を見てゐる。なにか探してゐるのならもうちょっとウロウロすると思うのだが、ひとつところで動かない。めづらしい虫でもゐるのだろうか。
近づいて、「なにしてるんですか?」と聞いた。「久しぶりに四つ葉のクローバーを探そうと思って」と片方がこたえた。たしかに彼らの足元にはクローバーが生えてゐるが、あんまり熱心でもなさそうだ。もう片方の男の子はスマホを見てゐる。
どうやら、連れだって土手には来たが、することもなく、話題も乏しく、しゃがんで地面を見てゐただけのようだ。
「つまり、めちゃくちゃヒマってことね?」
「まあ、そうっすね」
「そっか。がんばって。それぢゃ」
「ういー」
なんだか気が抜けて、おかしくて、笑いながら広場へ下りた。二人ともチャコにまったく関心を示さなかったのもおもしろいな。実にいい場面に出くわしたと思ったから書いておいた。クローバー探す気なかったもんな、あいつら。
☟土手、春、朝夕の寒暖差が激しい、花粉がおさまってきて嬉しい。