手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「ビッグ・アイズ」

ビッグ・アイズ」2014 アメリカ 監督:ティム・バートン

出演:エイミー・アダムスクリストフ・ヴァルツ ほか

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ティム・バートン監督の映画ってあんまり得意ぢゃないからスルーしてゐたんだけれど、アマプラでのぞいてみたらエイミー・アダムスさんが主演であることに気づき、鑑賞。とても面白かった。大好き。エイミー・アダムスに外れなし。

実話がベースなのでティム・バートン感がほとんどない。あってもそれは色使いとか色調のコントロールにあらわれるだけで、ジョニー・デップと組んで撮ったファンタジーのような「あのバートン感」はない。そこがぼくには嬉しかった。

いまよりもっともっと男尊女卑がつよかった時代のはなし。システムとして、社会通念として、女性は男性より一段低く、男性に依存して生きていくほかなかった。自分が書いた絵なのに、夫の名前で売り出し、それが世界中で大人気となる。彼女も「共犯」だから言い出せない。

クリストフ・ヴァルツさんの「ジキル&ハイド」芝居はお見事。とくに最後の法廷でのあの往生際の悪さは最高でございました。腹を抱えて笑いましたヨ。

この男、最終的にはほんとにまったく絵が描けないことが明らかになるのだけれど、道義的倫理的にはもちろん糾弾されるべきとして、それで妻をだまし、世間をだまし、大儲けしたのだから、ある意味すごい才能だと思った。自分のウソを信じられるサイコパスの強さ。

女だから仕事がなく、夫の女遊びには目をつむり、名前を出しても作品を性的に見られてしまう。前半はとくにそういう男性優位/女性差別システムの描写が多い。最近明るみにでた園子温監督の性的加害の件が頭に浮んだ。あれはそうとうひどい。業界では昔から有名だったらしい。どんな業界だよ、と思う。

あと、ワンちゃんもいい演技してましたね🐶