「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」2022 アメリカ
監督:サム・ライミ 出演:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン等
大好きです。見に行ってよかった。
実はそこまで期待してゐなかった。というのは、第一に、魔法系アクションがそんなに好きぢゃない。魔法使いってすごく特別な存在で、何ができて何ができないのかよくわからない。それができるならもっと簡単に全部解決できるのではないか、とか思ってしまう。
第二に、マルチバース展開はちょっと無理があるのではないかと感じてゐる。並行宇宙がたくさんあって互いに行き来できるのであれば、とうぜんアイアンマンやサノスもあちこちにゐることになるので、あの素晴らしいサノス二部作の位置付けはどうなってしまうのかという不満、あるいは懸念がある。
そういうわけで、いくぶんの不安を胸に劇場へ行った。上の二つのマイナス要素(自分にとっての)を忘れさせてくれる愉快な趣向がテンコ盛りの快作だった。楽しくて楽しくてしかたなかった。ホラーだしグロもあるのに暗くならない。設定はこんがらがってゐるのに混乱させない。サム・ライミ監督、すごいです。
カンバーバッチさんはいつも最高ですけれど、今回はマルチバースだから複数のドクター・ストレンジを演じることになって、その演技分けが実に楽しそうでした。ちょっと予告編に出てますけれど、ワルモノ・ストレンジ氏の表情と声色は実にかっこよかった(Things just got out of hand✨)。わづかの登場でしたが、ポニーテールのカンバーバッチさんも素敵でした。大好きです。
今回いちばん感激したのはエリザベス・オルセンさん演じるワンダの美しさ。ぼくの感覚が変なのでしょうか、エリザベス・オルセンさんはアベンジャーズ・シリーズのときよりも圧倒的に綺麗だと感じた。ダークサイドのワンダも幸福平安なワンダも物凄く綺麗だった。どの場面をとっても見事な表情をしてましたよね。大好きです。
暗黒面に堕ちてしまったワンダが別世界の自分に救われるというワンダのドラマとしてきれいにまとまってゐるので、マルチバース設定のグチャグチャ感がほとんど気にならなかった。
とにかく、終盤の、埋めたはずのアレがあんなことになってウオーッ!みたいな展開がたまらなくいいですよね。手からエネルギーを放ってドカーンをCGで見せるのではなく、もちろんCGなんだけれも、アレを操り人形的に動かしてああするっていうのがですね、魔法であっても手触りがあるのが、グっとくるんです。
楽しい気持ちで胸がいっぱいになりました。大好きです。