手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「マッキー」

「マッキー」2012 インド 監督:S・S・ラージャマウリ 出演:スディープ、サマンサ・ルス・プラブ、ナーニ 他

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こんど大ヒット上映中の「RRR」を見に行くつもりなので S・S・ラージャマウリ監督の2012年の作品「マッキー」をアマプラで鑑賞。驚きと爆笑の連続。素晴らしい作品だった。大好きです。

ハンサムボーイがイケイケの成金オヤジに殺されてハエに生まれ変わり(輪廻転生!)復讐する話。という一行で書けてしまう超単純なバカ映画であるが、このバカ設定のなかでどれだけ愉快で楽しいアクションを盛り込めるかを追求してゐる。この楽しさはチャウ・シンチー監督の喜劇映画に近いと感じた。最高です。

この驚くべきアイディア力と演出力で壮大な歴史物語を描くとあの「バーフバリ」になるのだなあと深く納得。「RRR」は絶対に劇場で見たい。

若い男が殺されたのはどんな女でもイチコロで落とせるぜと調子ぶっこいてゐる成金オヤジが唯一モノにできなかった女の愛した男だから。いちおうそういう設定で予告編でも「ふたりは幸せの絶頂だった!」と言ってゐるが、実際のところふたりはデートもろくにしてゐないんだよね。

「バーフバリ」でも感じたことだけれど、男女の距離の詰め方がまったく謎である。男の女へのアプローチの仕方がただ「しつこくつけまわす」だけなのだ。「マッキー」ではハンサムボーイも成金オヤジもビンドゥ(すごく綺麗)に言い寄るのだけれど、ふたりとも自分の欲望を押しつけようとするだけで相手の気持ちを推しはかるつもりがまるでない。

最終的にビンドゥがそれを受け入れるからいいのかもしれないが、それでええのんかと言いたい気もする。ハエに転生したあとだって結局のところやってるのは「しつこくつけまわす」ことなわけで。見てゐるときはインド映画の様式的なギャグとしてとらえるからいいのだけれども。

ハエ君は自己犠牲によって復讐を遂げ愛するビンドゥを成金オヤジから守ることに成功する。で、なんと次もまたハエに転生しちゃうの。それで「これからもビンドゥに近づく男をやっつけるぜ🎵」みたいな歌を歌って終わる。怖すぎるでしょ。ハンサムボーイの狂気、怨念。

これではビンドゥは一生ほかの男と恋愛できないことになる。いよいよ耐えられなくなったビンドゥがハエ(元ハンサムボーイ)と戦うという続編をつくってもらえないだろうか。壮絶な闘いの末にハエ君が悟りを得て永劫の輪廻から離脱するという、、、

「バーフバリ」「RRR」と超大作がつづいたので、息抜きにバカ映画を一本いかがでしょう。