「勉強の哲学ー来たるべきバカのためにー 増補版」千葉雅也 文春文庫 2020
面白かった。哲学がこんな実用的な本になるなんてビックリだ。
実用書を読むときの「ううん、役に立つぞお、マネしてみよう」という楽しさと、哲学書を読むときの「なるほど、こういう概念を使うとこのように事象を把握できるのか」という興奮を同時に味わえる。
勉強を深めるとは言語偏重の人になることである。現実から切り離した言語を自由に操作することで、無数の可能性を開くことができる。
いまは非現実的だとしても、「私は上海で働く」という可能的な状況を、言語使って想定することで、その実現に向けてアクションを始めることができる。あるいは、「貧困に苦しむ人がない世界」という言葉の並びを作ることで、それを旗印として社会運動が始まる。
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ここが重要です。いま属している環境にはない可能性を、たんに言語の力で想像すること、それは文学にまで通じている、というか、それは文学することにほかならないのです。
可能性をとりあえずの形にする。言語はそのためにある。
47-48頁
そういえば、イチローが引退会見で似たようなことを言ってゐたっけ。(こちら)
確かに、最低50までって本当に思っていたし、それは叶わずで。有言不実行の男になってしまったわけですけど、でもその表現をしてこなかったらここまでできなかったかもなという思いもあります。
言葉にすること。難しいかもしれないけど、言葉にして表現することというのは、目標に近づく一つの方法ではないかなというふうに思っています。
☟めっちゃいいです。