手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「中国=文化と思想」林語堂

中国=文化と思想林語堂 訳:鋤柄治郎 講談社学術文庫 1997

四月はずっと体調が悪かった。年のせいか、季節の変わり目だからか、寒暖差が例年より大きかったためか、たぶん全部だろう。久しぶりに高麗人参濃縮エキスを買った。今日から毎日白湯に入れて飲むことにする。これで元気モリモリ間違いなしだろう。人参エキスのあの滋養強壮の権化みたいな漆黒が好きだ。熱い湯に溶かしたときのかすかな苦みもまたいい。

土曜だから洗濯をした。せっかくの好天なのに風が強すぎて外に干すことができない。江戸川のすぐそばでだだっ広い地形だからか、うちの近くは天気予報で「風やや強く」くらいで強風が吹く。ときどき突風が起って洗濯物が飛んでしまう。残念ながら部屋干しになってしまうが、カラっとしてゐるから乾くだろう。

林語堂の「中国=文化と思想」は学生時代に読んでいたく感動した本だ。こんど読み返しても面白かったが、あまりの冗長さに辟易したのも事実で、後半はぱらぱら飛ばし読みした。長すぎる。林氏の文章生成回路はとてつもない馬力を備えてゐるようで無限に言葉が出てきてしまうらしい。しかもそれが非母語である英語なんだから怖ろしいですよ。

 成功したときには中国人はすべて儒家になり、失敗したときにはすべて道家になる。儒家は我々の中にあって建設し、努力する。道家は傍観し、微笑しているのである。中国の文人は朝にあれば道を説き、徳を論ずるが、いったん野に下ると詩を賦し、詞を作る。その詞は道家思想に溢れたものばかりである。 100頁

 次に掲げる詩は、中国の児童が学校に上がって最初に習う詩である。

 

雲淡く風軽し 午に近き天

花を望み柳に随いて前川を過ぐ

傍人は知らず余が心の楽しさを

将に謂わんとす閑を盗みて少年に学ぶと

 

 北宋 程顥「春日偶成」

 

 中国人の目から見れば、この詩は片時の楽しい心情を表現したもののみならず、人生の「至善至徳」を表現したものでもある。中国人というものは、この詩に盛りこまれたような人生の理想に浸り、陶酔するものなのである。 167-168頁

雲淡風輕近午天,傍花隨柳過前川。

時人不識余心樂,將謂偷閒學少年。

いいですね。