手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「THE FIRST SLAM DUNK」

「THE FIRST SLAM DUNK」2022 日本 原作・脚本・監督:井上雄彦

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帰省して奈良の友人たち4人で鑑賞。

去年は「マトリックス・レザレクションズ」を見たのだった。そのとき4人のなかのひとりが「マトリックス」シリーズをひとつも見てゐないことが判明して驚いた。彼は「スターウォーズ」もまったく見たことがないらしいからみんないろいろである。

スラムダンク」は彼を含む全員が漫画を全巻読破してゐた。彼が読んでゐるくらい僕たちの世代にとって共通の体験ということなのだろう。スラダンも読んでないことを期待してゐたのでちょっとがっかりしたけれど。

素晴らしい映画だった。

ぼくはアニメ版はほとんど見てゐないので声優がかわってゐることへの違和感はなかった。とにかく試合シーンの選手たちの動きに感動した。とてもリアルだ。このような種類の「リアル」を見たのは初めて。ディズニーやピクサーの絵とはちがう、漫画の絵が動いてゐるリアルだった。

いい試合だった。漫画のときと同様に三井のスリーポイントには泣かさせたぜ。安西先生のほのぼのかわゆいキャラは映画では抑制されてゐて、ことばで選手を鼓舞するデキる監督になってゐた。山王強かったなあ。

主人公が桜木花道ではなく宮城リョータなので、リョータの全体の見た目が漫画版よりかっこよくなってゐた。それに対応するかたちで、晴子さんのかわいいレベルが下げられ、彩子さんがすごい美人に描かれてゐた。いわゆる「いい女」だった。

長いこと読み返してゐないので記憶頼みだけれど、彩子さんは漫画ではもうちょっとコミカル系のキャラだった気がする。これでは花道だって晴子さんではなく彩子さんにホレてしまうのではないかと思ってちょっと可笑しかった。

マイナス点をいえば、回想の挿入が多いので試合で盛りあがった感興がその都度そがれてしまうことだろうか。ただ、回想がなく試合だけを描くなら2時間の上映時間がもたないし、非スラダン読者はついていけないだろうから仕方ない。

あと、これは友達の指摘なのだけれど、湘北チームの深刻になりがちな空気を変え、試合を動かすのは素人桜木のアホな言動であることがあきらかなので、「スラムダンク」の主人公はやっぱり桜木なのだと改めて感じたとのこと。なるほどたしかに。