手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

Dussehra 2022

10月5日、インドは Dussehra 祭りだったそうだ。それでダンスレッスンは休みになった。Dussehra は1992年刊の「南アジアを知る事典」では「ダシャラー」で項を立ててゐる。

アーシュヴィン月(9~10月)の満月に向けて10日間行われる。秋の始まりを祝う祭で、秋まきの小麦の予祝を含み、またそれぞれの家業で用いる道具を供養する仕事納め、仕事始めの要素ももつ。

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いずれにせよ魔に対する神々の勝利が祝われるわけである。10日目は〈勝利の10日目〉と呼ばれ、人々は神々、とくにラーマにプージャー(神像礼拝儀礼)をささげる。

ふむふむ。

今回も WhatsApp のグループにいくつかの写真とメッセージが投稿された。

An occasion to celebrate victory over defeat, light over darkness, awareness over ignorance, an occasion to celebrate life. May this auspicious occasion light up your life with happiness, joy and peace. Wishing you all and your Family a Very Happy Dussehra.

敗北、闇、無知、に対する勝利、光、知を祝福すると。

神話の世界ではこれら抽象的な概念を象徴する神々が活躍する。伝統舞踊では人間がさまざまな神を演じ、物語を語る。それによって価値あるものを顕揚する。

価値観が狂うと人間世界は壊れてしまうからだ。

ここ数日のニュースを見て、日本の壊れ具合はさらに別のフェーズに入ったと感じる。無知、傲慢、嘲笑、卑怯、そのような魔的なものが幅を利かせてゐる。必要なのはこれらを砕く知、つつしみ、やさしさ、勇気。

日本の場合、こういった価値観をインストールするための装置が弱い。仏教も神道儒教明治維新と敗戦で力を失ってしまった。ぼくたちの精神文化はどこによりどころを求めることができるだろう。