「13歳からの世界征服」中田考 2019 百万年書房
中田考先生の本を読むといろんなことがどうでもよくなって心がとてもすっきりする。
というのは中田先生はムスリムであり、アッラー以外の権威を認めない、「カリフ制だけが解答」という方で、その立場から領域国民国家とか資本主義とか社会的地位といった「偶像」をコテンパンにやっつけていく。
(#領域国民国家を憎んで人を憎まず)
その手際が痛快でまたユーモアがあり、ぼくのように日本的状況に沈みがちな人間には一服の清涼剤のような効果があるのだ。
どうも若い子どもたちの悩みや質問に「すべきかどうか」が多いですが、「すべきこと」なんてこの世にありません。
すべきなのはカリフ制再興だけです。
それ以外に「すべきこと」など何もない。
したかったらすればいいし、したくなければしなければいい。
128-129頁
とか最高。
あと中田先生の本はいつも「あとがき」がいい。
信仰に生きる自身の人生態度を率直に語り、最後に必ず、読者へ祝福の言葉を贈る。
イスラームには、キリスト教や仏教と違ってイエスや釈迦、そしてその代理を務める祭司や僧が人を導き救うという発想がない。導きも救いもただ神からしかやってこない。導きも救いもただ神からしかやってこない。
迷いも悩みも苦しみも悲しみも私だけのもの。
誰にも手渡さない。
ただ神にだけ祈り、祈り続ける。
信じて待ち続ける者だけに、答えは与えられるべきときに相応しい形で与えられる。
そう信じる。
縁あってここまで本書を読み進めてくれた人たちに、神の導きがあらんことを。