手探り、手作り

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「枝野幸男、魂の3時間大演説 安倍政権が不信任に足る7つの理由」

枝野幸男、魂の3時間大演説 安倍政権が不信任に足る7つの理由」2018

編者:ハーバー・ビジネス・オンライン 出版社:扶桑社

 

 2018年7月20日、野党は共同して安倍内閣に対する内閣不信任案を提出した。本書は野党第一党である立憲民主党枝野幸男代表が行った、2時間43分にも及ぶその趣旨弁明演説を書き起こしたものである。

 枝野氏の言葉によればこの国会は「民主主義と立憲主義の見地から、憲政至上最悪の国会」であった。

 演説ではその理由を以下の7項目にわけて説明してゐる。

 

1、高度プロフェッショナル制度の強行

2、カジの法案の強行

3、アベノミクスの失敗

4、政治と社会のモラルを低下させるモリカケ問題

5、ごまかしだらけの答弁。そして民主主義を無視した強行採決

6、行き詰る外交と混乱する安全保障政策

7、官僚システムの崩壊

 

 この7つの項目について、その一つ一つを紹介することはしない。一人でも多くの人に読んでいただきたいと思う。

 感想を述べると、一言。うんざりだ。

 もちろん安倍政権のひどさにだ。こんなくだらない人達の体裁を保つために、国費が蕩尽され、公文書が改竄され、法治が破壊されていくとは・・・

 ところが、うんざりして「政治って嫌だ」と感じる人が増えるほど、強固な基盤を持つ自民党には有利に働いてしまうのだから、まったく気がめいる。

 第二次安倍政権の始まりから5度の国政選挙が行われたが、いづれ投票率は5割ちょっと。実際に自民党に投票した人は有権者の25%程度に過ぎない。

 これで「国民の信任を得た」とは言えないと思うが、今の日本では権力の横暴を指弾する声よりも、勝者による弱者いぢめのほうが受ける。

 弱者や敗者の「おれたちを無視するな」という声よりも、「選挙に負けたんだからしょうがないだろ」という「勝てば官軍」式論法のほうが現実的な力を持ってゐる。

 この国では良心は力にならないのだろうか?

 

 枝野氏は演説の中で「民主主義は多数決ではない」と述べてゐる。

 国会の中でみんなで意見が一致してものが決まるのが本来の民主主義の望ましい形でありますが、残念ながら全ての件で全員が一致することはありません。その場合の手段として多数決が使われることがあります。しかし、多数決だから正しいわけではありませんし、正当な手続きなわけではありません。

 なぜ、民主主義において多数決という手段が使われるのか。それは、多数の言っていることが正しいからではありません。熟議を繰り返した結果として、多数の意見であるならば、少数の意見の人たちも納得するからです。多数決というのは、少数意見の人たちも納得するための手段として多数決が使われるんです。少数意見を納得させようという意思もない多数決は、多数決の乱用です。多数決が少数の人たちを納得させる手段として正当性を持つためには、多数決の前提として、正しい情報が開示されなければなりません。

 たいへん重要な指摘で、少しでも民主制を「マシ」に機能させるためには、どうしても多数決というものに対する上のような認識が国民のうちに共有されねばならないと思う。