手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「KCIA 南山の部長たち」

KCIA 南山の部長たち」2020 韓国 監督:ウ・ミンホ 

出演:イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン、イ・ヒジュン ほか

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昨日か一昨日の記事に山本昌渥美清が似てゐるということを書いた。この映画に出てくる大統領警護室長(イ・ヒジュン)が、またなんと山本昌に似てゐた。どうやらぼくの脳にひとの顔の要素を山本昌に寄せて把握するような回路ができてしまったらしい。

それはどうでもいいとして、素晴らしい映画だった。俳優さんみな名演だったと思う。ふだん感情を殺して仕事をしてゐるが、上司でありかつ同士であるパク大統領に疎んじられ、屈辱に震える、イ・ビョンホンの表情は鳥肌もの。

クライマックス、三度目の宴会での会話劇は凄い緊張感だった。あのシーンの大統領の演技も見事だ。二人を銃殺して、興奮状態にあるキム部長が血で滑って転んでしまうのは演出なのか、偶然なのか。偶然で、予想外のハプニングだとしたら、これはミラクルだよな。動転ぶりがよくわかるし、おかしみもある。

長さもちょうどよくて、登場人物も少なく、人間ドラマとして描いてゐるから韓国現代史に詳しくなくても楽しめる。堂々たる傑作だと感じた。

キム部長、最後に「南山へ行くか、陸軍へ行くか」と問われて、答えられない。彼の行動は、そういう気持は以前からあったにしろ、やはり突発的なもので、暗殺後にどうやって権力を掌握して、どういう体制をつくるかは考えてゐなかったんだな。そのあたりの機微がジーンと迫ってくる、演出・演技。

いい映画を見た。大好きです。