手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「海街ダイアリー」

「海街ダイアリー」2015

監督:是枝裕和 原作:吉田秋生 出演:綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すず

 

アマゾンプライムで鑑賞。

きれいな映画だった。鎌倉に行ってみたくなる。

寄せては返す波とか、毎年実をつける庭の梅の木とか、そういう生命の大きな流れみたいなものを強く印象づける絵づくりとなってゐる。

自然の流転が背景にあって、その中で人の生と死が淡々と描かれていく。

ぼくは生よりも、死についての印象が強く残った。

こうして一夜あけてこの感想を書いてゐて想いをよせるのは、広瀬すずの瑞々しい輝きよりも、死んでしまった海猫食堂のおかみさんや、やがて死ぬであろう姉妹達の母のことだったりする。

なぜだろう。

単純にぼくが年をとったということだろう。

32歳といったら、人生100年時代においてはかなり若いに違いないけれど、人生の短さについては身に染みて感じるようになった。

別に死期が近いということでもあるまい。

ただ、思ったより、人生は短いし、自分にできることは限られてゐる。いろんなことの有限性について思いをいたすことが多くなった。

それは辛いことではないし、淋しいことでもない。

そんなものだと思う。いろんなことが、そんなもんだよ、でかたづけられるようになってきた。

自分は年をとったのだと思う。