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「愛国の作法」姜尚中

「愛国の作法」2006

著者:姜尚中  朝日新書

 

第一次安倍政権の誕生と日本の右傾化に危機感を抱いて書かれたものか。くりかえし安倍晋三の「美しい国へ」への言及がある。

「はじめに」の最後に次のことばがある。

 大切なことは、国を愛することや愛国心を、夜郎自大的な一部の「右翼」的な人々の専売特許のままにしておかないことです。もっとしなやかに、そしてしたたかに国を愛することや愛国心について語り、議論することが必要なのです。

完全に同意する。

愛国心」というのは逆らいようのないものだ。「反日」とか「売国奴」とか言われたら誰だって嫌な気持ちになる。たいへん便利な概念であって、これで「おれたち」と「あいつら」を区別して「あいつら」を攻撃することができる。ほとんど無敵である。

国民国家」というのが現に存在してをり、それがあんまり強大であるからそういうことになっちゃうのだけれど、今のところ他に枠組みがないし、それを超えうる理念もでてきてゐないので、しょうがない。

だからこの概念を夜郎自大的な一部の「右翼」的な人々の専売特許にしてゐては危険である。

たいへん危険である。社会が壊れる。倫理的にも許されない。

夜郎自大的な一部の「右翼」的な人々に熱狂的に支持されてゐるのが安倍政権だ。

「朝鮮むかつく」「中国けしからん」という「愛国心」が彼らの求心力だ。

安倍政権の中枢にゐる人達が明らかな「ヘイト」言説をはなったことはぼくの知る限りない。

しかし、安倍政権に近しい人士や自民党議員から朝鮮ヘイトを聞くことはもはや珍しいことではなくなってゐる。

安倍政権は愛国心という名の排外主義と差別主義に、たしかに「イエス」のメッセージを与えてきた。

それに大喜びする心の弱い人達が、さかんにヘイトをまきちらしてゐる。

怖い。

どうしたらこれを食い止められるだろうか。

何よりもまづ、安倍政権を打倒することが大事だとは思う。しかし、その倒れ方によっては、また倒した勢力の態度によっては、レイシストが先鋭化してカルト化するということだってありそうぢゃないか。

そして何よりも、相当数の日本人がもってゐると思われる、とてもナチュラルなアジア人蔑視、優越意識、というのが根深くてやっかいだ。

これをどう解除し、分相応のアイデンティティを構築するか。

どうしたもんだろうか。

ぼくは、アジア諸国と信頼関係を築いたうえで米国からの独立を目指すことでしか、日本人の自尊心は回復されないだろうと思ってゐる。

ところが現状多くの国民は、沖縄に基地をおしつけて米国の属国でありつづけ、それについては自己欺瞞で見ないことにして、ひそかにアジア諸国を下見てゐたい、そう思ってゐるように見える。

いや、というか、とりあえず現状のままで、とぼんやり考えてゐる人が過半かもしれない。

安倍政権というのはわれわれの奴隷精神の象徴であり、奴隷であることを抑圧したその症状が「朝鮮むかつく」の気分として出てきてゐるんだ。

前世紀の破滅は沖縄戦カミカゼと人間魚雷と二発の原子爆弾にいきついたわけだが、次の破滅はどのようなものになるのだろう。