「カールじいさんの空飛ぶ家」2009 アメリカ 監督:ピート・ドクター
帰省中に実家のハードディスクに録画してあったのを見た。感激した。素晴らしい作品だ。「老い」が主題。冒頭「いつかやろう」を先延ばしにしてゐるうちに老人になってしまうという人生の真実が台詞なしで描かれる。ここでもう淚ほろり、傑作の予感。
妻を失い、独りになり、社会的にも除け者あつかいされて、カールじいさんは家と共に飛び立つ。妻が夢見てゐた冒険へ。家はこれまでの人生の象徴。そこに男の子がついてくる。
終盤、子供を助けるために、もう一度飛び立つために、家の荷物を捨てる。ひとつ荷物を捨てた瞬間に、じいさんの顔が晴れる。生まれ変わった瞬間。ここにいちばんジーンときた。なんという見事な作劇、象徴性だろう。
風船で家が飛ぶのも、よぼよぼのじいさんが突然スーパーマンみたいな力を発揮するのも非現実的だが、アニメーションだから許されるし、その快楽に身をゆだねるべき。最高でした。是非もう一度見たい。