手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

Kathak practice October 2021

合同練習

7月の記事に、ぼくのカタック遍歴について記し、9月からヌータン先生のオンラインレッスンを受けることに決めた、関心のある方は連絡くださいと書きました。9月の記事に、オンラインレッスンがとても楽しいこと、そしてある方が連絡をくださり、いちど合同練習をすることになったことを書きました。

先日一緒に2時間練習してきました。その人はかつてかなり熱心にカタックをやられてゐた方で、実際にインドに滞在して習ったこともあるとのことでした。しかし伝統芸能の世界の閉鎖的かつ権威主義的な秩序に耐えられなくなってカタックをやめ、いまはPOPダンスに熱中してゐる、ダンスが大好きな人です。

経歴からわかるように、おおきな熱意をもってカタックに取り組まれてきた人で、長いブランクがあるにもかかわらず、その動きはとても美しく、驚くばかりでした。とくに肘から手首の動きなど、長く集中的に訓練した人しか出せないような素晴らしい洗練があり、感動いたしました。

とても楽しかったので、月に一度くらい合同練習しましょうという話になりました。貴重な機会をあたえてくださりありがとうございます😌

というわけで、またやりますのでご関心のある方いらっしゃいましたらご連絡ください。まったく未経験だけれどなんとなく興味があるとかでもかまいません。それならそれで、なにか考えましょう。

duoxie.hengcun@gmail.com

ここで、ですます調は終わりです。

バガヴァッド・ギーター

ほんとうに連絡が来るとは思ってゐなかったので、びっくりした。オンラインレッスンを続けて、復習のためにときどきスタジオをかりて自主練できたらいいかな、くらいに考えてゐた。一人の練習は大事だけれど、それは一人でやればいいので(なんだそれ)、誰かと練習するのもいいよね✨

オンラインレッスンに参加して、日本でできるだけのことをやり、行けるようになったらインドに行き、直接指導を受けたい。これを続ける。どこかの時点で、ヌータン先生の許可を得て、日本で教室を開きたい。生徒さんを集めて、ヌータン先生を招きたい。コーマルさんも招きたい。これが現在のぼくの目標だ。

しかし、目標に執着してはならないと思う。目標に執着すると、現在がおろそかになり、楽しくなくなる。うまくいかないことに腹が立つ。達成できない自分がイヤになる。そうしてどこかでやめてしまう。

ヒンドゥー教聖典「バガヴァッド・ギーター」は、結果への執着を戒める。

あなたの職務は行為そのものにある。決して結果にはない。行為の結果を動機としてはいけない。また無為に執着してはならぬ。 (2-47)

自己の義務(ダルマ)の遂行は、不完全でも、よく遂行された他者の義務に勝る。自己の義務に死ぬことは幸せである。他者の義務を行うことは危険である。 (3-35)

たまたま得たものに満足し、相対的なものを超え、妬み(不満)を離れ、成功と不成功を平等(同一)に見る人は、行為をしても束縛されない。(4ー22)

目標をもっても、どうせ思ったとおりにはいかない。それならそれでけっこうだ。計画通りに進めたいと思うから、思うようにいかなかったときに消沈するのだし、将来が不安になる。それで動けなくなる。

「ギーター」はこのような人間の弱さを見抜き、簡明な言葉で真の生き方を提示する。

閉鎖性・権威主義

上に「伝統芸能の世界の閉鎖的かつ権威主義的な秩序に耐えられなくなって」と書いたが、これは芸能の世界のみならず、いまあらゆる集団および組織が向き合わなくてはならない問題だと思う。

どんな集団も完全に開かれてゐることはできず、また完全な平等も実現しない。集団である以上は境界があり、あるていど閉ぢてゐるもので、創設者/指導者/先生/年長者/昔からゐる人などが「えらい」ということになる。つまり閉鎖性と権威主義はどこにでもある。

しかし閉鎖性と権威主義はハラスメントに道を通じてゐる。集団内の「えらい」人が権力構造に無自覚である場合には無意識のうちにハラスメントをしてしまう。権力の維持と強化のために、あるいは地位を失うことへの恐怖から、嫌がらせ・恫喝・排除などをして、下位のものを隷属させ、奴隷根性を叩きこんで、無気力にさせる。諦めさせて、ひどい扱いをし、不当な待遇を押し付け、ひどい場合には性的加害をおこなう。

いぢめ、ブラック部活、ブラックバイト、ブラック企業、就活セクハラなどみな同じ。ここ数年では柔道や相撲やボクシングやアメフトなどスポーツ業界でのハラスメント事案が報道された。芸能やアートの世界でも告発が相次いでゐる。「よくある話」のようだ。

「よくある話」ではあるが、いい加減にそういうのはダメだろと思うので、そういう世界とは距離をとっていきたい。同じように考えてゐる人は多いが、日本全体の空気としては、支配と隷属にもとづく秩序維持への圧力が強まってゐるように感じる。

もちろん政治状況が念頭にあるが、書くと腹が立ってくるのでここでやめにする。

Hiroki, I want to teach you more!

オンラインレッスンはとても楽しい。月曜日と水曜日の21時(インドは17時半)から1時間のレッスンだ。ヌータン先生は座学も重んじる人で、理論的なこともしっかり教えてくれる。嬉しい。

「ノートを出しなさい。カタックにはたくさんの動きがあるが、私はそれを4つの部門に分割し、順番に教えていきます。動きを見せて、その名前と定義をいうので、正確に書き留めるように」

そうして書いていくのだが、ぼくはリスニングが苦手なのでなかなか追いつけない。通信環境・音質・画質もパーフェクトではない。だから録画の許可をとって毎回ビデオにとって復習することにした。また、クラスには先生の上級クラスの生徒さんが何人か参加してゐて、その人が書いたノートを後でシェアしてくれるので、すごく助かる。感謝。

ヌータン先生に用事ができて、9月の第2週からしばらくお休みとなった。娘さんと上級の生徒さんがレッスンを代行した。生徒といってもみなプロのダンサーでそれぞれ活躍してゐる人達。当り前だけれどみなさんすごく上手で感激。とても楽しい。

10月の頭にヌータン先生が戻ってこられた。ぼくの練習を見て「ヒロキはとても上達した。だから提案がある。あなたにもっと教えたいので、ひとつ上のクラスも同時に参加したらどうか」といった。うれしいです、もちろん参加します。と応えた。

レッスンは連続して行われるので、月曜日と水曜日の21時から2時間の練習ということになった。同じ曜日に連続してレッスンなのでありがたい。消化するのがたいへんだけれど、そこはだましだましやっていきたい。続けていくうちに英語にも慣れてくるのではないかしら。