手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「ペパーミント・キャンディー」

ペパーミント・キャンディー」2000 韓国 

監督:イ・チャンドン 出演:ソル・ギョングムン・ソリ、キム・ヨジン

とてもよかった。男がなぜ列車の前に立つに至ったのか。少しづつ時間をさかのぼって描いていく。ラストシーンは実際の時間ではいちばんはじめ、純粋だったころ、素晴らしい人生を思い描けたとき。あの涙の意味するものはなんだろう。「いまこの瞬間が、自分の人生のいちばん美しい場面なのかもしれない」そんな予感が到来したのではないだろうか。なんて切ないんだ。そういう人生もある。

神はあの瞬間、すべてを彼に明かした。彼は理解できず涙を流すことしかできなかった。そこから20年、彼は人を傷つけ、また自ら傷つき、人生という因果のどうしようもなさを身をもって味わうことになる。幸福も不幸も、成功も失敗も、不思議な因果があるとき偶然そのようなかたちをとったというだけのことで、本質的には同じなのかもしれない。