人生は誰にとっても苦しいものだ。不幸からのがれることはできない。また、最終的にはみんな必ず死ぬ。
不幸と死を前提とした、この生を、幸福に生きることはいかに可能か。
宗教人類学者が平易なことばで明快に語った本。
最近、ほんとに肚の底から、人生ってみんな似たようなもんだなと感じてゐたところだったので、我が意を得たりという感じだった。
もちろん、みんなそれぞれ全然違うけれど、わけもわからず生まれて、苦労して、死んでゆく。という意味ではみんな一緒だ。
それが前提だ。
そのうえでの幸福、生きるチカラというのはどこに見いだされるか。
苦しい、不幸だ、だけで死ぬ人生ではなく、不幸もあり、苦しいこともある、しかしその中で喜びと幸福を感じる生きかたをするにはどうしたらいいか。
「生老病死」を「一切皆苦」ではなく、「一切皆喜」と感じられるような心の持ち方とはどんなものだろう。
宗教、信仰、哲学などの領分だ。
いくらテクノロジーが進化しても、社会システムをどのように設計しても、この問題は残る。そして、この問題が結局のところいちばん大事だ。
これは名著。