明治・大正・昭和・平成、四人の天皇のお言葉をその背景とともに紹介していく。
なんて親切で、なんてこころざしの高い書物だろう。こういう本、ありそうでなかった。あるべきなのに、なかった、と思う。これを通読するだけで近代日本の大きな流れが見えてくる。
それにしても、この辻田さん、お若いのに、すごいなあ。ぼくより二つ年嵩なだけぢゃんか。この年齢でこれだけの学識、筆力。おそるべし。
四人の天皇のお言葉、詔勅から侍従のメモまで、多様。そこから人間が浮かびあがってくる。天皇は戦前神様あつかいされてゐたが、やはり人間。人間くさいところが、おもしろい。
一番印象に残ったのは、今上天皇の、深い思索と強い意志。ここまで強烈な人とは知らなかった。