手探り、手作り🐘

May happiness come your way😊

ことば

小林は自分でも知らぬ間に正直に答へてゐた。

夏目漱石の「明暗」に続いて、水村美苗の「続 明暗」を読みなおしてみた。初見時には見事な文体の模写、伏線の回収、痛快に面白い展開といった数々の長所に感嘆とするばかりで「これは最高だ!」と思ったものだったけれど、再読してみると自分の中の評価が正…

「でも私の見たあなたはそういう方なんだから仕方がないわ。嘘でも偽りでもないんですもの」

夏目漱石「明暗」の何度目かの通読を終えたので、いまの気持ちを書いておきたい。最高にいい気分だ。たぶん、四度目か五度目かになるのだけど、今回が一番よかったかもしれない。「自然/天」が「人間/私」を動かしていく、その様を堪能した。 ぼくはこの小…

座り心地の悪い椅子

若松英輔さんのツイート。 文章を書くとは、己れを知る道程だから、書けば書くほど自らの非才を認識することになる。非才であるがゆえ、できることは限られていて、眼前に広がる一すじの道を歩くほかないことを知る。非才の自覚は、夢を失うことかもしれない…

「日本語のために」池澤夏樹 編

「日本語のために」池澤夏樹 編 河出書房新社 2017 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集の第30巻 最近、じっくり通読する本と、テキトーに通読する本と、必要な箇所だけ読む本とをはっきり分けるようになった。これまで「通読せねばならぬ」という思い込み…

「私は未来の侮辱を受けないために、今の尊敬をしりぞけたいと思ふのです。」

夏目漱石「こころ」、第十四章。 「私」は「先生」に対して、近づきがたいような、しかしどうしても近づかなければならないと迫られるような、不思議な引力を感じてゐる。若い「私」には、教壇に立つでもなく、著述をなすでもなく、ただしづかに一人を守る「…

「細君から嬲られる時の軽い感じ」

漱石の「明暗」を読んでゐる。どこを読んでも見事な文章でひたすら感嘆してゐる。 第十二章、津田は手術のために会社を数日休む旨を伝えに上司の吉川の家へ行く。しかし吉川は不在である。津田は細君に言伝をたのむ。 細君は快く引き受けた。あたかも自分が…

主食になる書物

批評家・詩人の若松英輔さんのつぶやきに共感した。 言葉は文字通りの意味で心の糧だ。だから米を食べるように同じ本を繰り返し読んでよい。むしろ主食になる書物との出会わないまま「甘いもの」だけを食べていると「歯」も「胃腸」もくたびれてくる。「良薬…

中国の「凑合」を愛す。

まさかの手動 pic.twitter.com/804Ie32ySc — 中国最新情報(xChina) (@xChina4) 2020年5月23日 この動画から感じられる中国人の愛嬌が好き。 だましだましやって、それを楽しむ感じ。 ぼくはこの中国人の美点を個人的に「凑合」イズムと呼んでゐる。 「凑合」…

「詩を書くってどんなこと?」若松英輔

「詩を書くってどんなこと?」若松英輔 2019 平凡社 www.youtube.com www.youtube.com ☝は若松英輔さんの講演。 以下、ノートをば。 詩を書くことを勧めたいのは、詩は 表層意識だけでなく、私たちの深層意識、こころの深いところにあるものを表現できる…

Maybe

原曲:The Chantels 1957 「Maybe」 Maybe, if I pray every night You'll come back to me And maybe, if I cry every day You'll come back to stay Oh, maybe Maybe, if I hold your hand You will understand And maybe, if I kissed your lips I'll be …

若松英輔さんの本二冊

「イエス伝」2015 中央公論新社 「『こころ異聞』 書かれなかった遺言」2019 岩波書店 文学が好きで、よかった。 若松英輔さんの本を読んでみたいと思って、図書館で二冊借りて読んだ。 いづれも、ほんとうに素晴らしい書物だった。 「読む」こと、…

お客さん

むかし 生理のことを「お客さん」といったらしい きょう お客さんの日なの などと お客さんは 毎月 数日のあいだ 女性のからだに 滞在して 血とともに 去っていく お客さんと仲良くできる人もゐるし そうでない人もゐる どんなお客さんがくるのか やさしい人…

光と音のない世界

「奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝」原著:ヘレン・ケラー 1903 翻訳:小倉慶郎 「ぼくの命は言葉とともにある」福島智 2015 致知出版社 光と音のない世界はどうのようなものだろうかと興味をもって、上記の二冊を読んだ。 ヘレン・ケラーは1歳で視覚…

「誰があつと云つたの」

夏目漱石「明暗」 主人公の津田は清子への未練を抱えながらお延と結婚してしまった。そのことがお延を苦しめ、夫婦関係は危機にある。 津田とお延との仲をとりもったのは吉川夫人。夫人は、津田が清子にまだ執着してゐるのを見抜いてゐる。それでは本当の夫…

too submissive

アカデミー賞のメイクアップ賞を受賞したカズ・ヒロさんのことば。 "Sorry to say but I left Japan, and I became American because I got tired of this culture, too submissive, and so hard to make a dream come true. So that's why I'm living here.…

布置(ふち)

昨日、ツイッターでこんなことをつぶやいた。 何事もおもいつめないことが肝要。 可能性はいくらでもある。これしかない、などということはない。しかし、なぜおもいつめてしまうのかというと、実際に何かを行うときにはただ一つを選択しているからだ。一つ…

「話が通じるから好きなのよ」

「キャロル」(2015)という映画が好きだ。 ケイト・ブランシェット演じるキャロルとルーニー・マーラ演じるテレーズの恋を描いた美しい映画だ。 あんまり好きなので、ぼくには珍しくパンフレットを購入してしまったくらいだ。 衣装・デザインがとても美…

結婚披露宴・友人代表スピーチ

先日、奈良は猿沢池のほとりのとある会場で、友人の結婚式および披露宴に出席した。 ぼくは光栄にも新郎の友人代表祝辞という大役を仰せつかった。 緊張したが、なんとかその任を務めることができた。 結婚式というのはよいものですね。じーんときた。 ここ…

「知的障害者です。ご容赦下さい」

友人からこんな話を聞いた。 混雑した駅の改札で、前にゐた男性が改札の手前で急に立ち止まったから、その真後ろにゐた自分は少しイラッとした。 ふと顔を上げるとその男性のリュックに白いメモが下げてあって、 「知的障害者です。ご容赦下さい」 みたいな…

誤解を与えたとすれば謝罪した上で、発言を撤回いたしますが、真意についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと、このように思うわけでございまして・・・

台風19号の被害について自民党の二階俊博幹事長が「まづまづに収まった」と述べて、そんなわけないだろうということで問題になったので、それを撤回した。 「被災者に誤解を与えたとすれば表現が不適切であった。今後、災害の復旧に全力を尽くしたい」 と…

英語のむづかしさ。

英語ってむづかしいなあと思う。 先日、映画評論家の町山智浩さんがクリス・エヴァンスのツイートを紹介してゐた。 クリス・エヴァンス「政治から目を背ける(それは個人の権利)人々の心の中には、行動すべき時、発言すべき時の線引きがあるのだろう。なら…

言いたいけど言えない、漱石的状況。

「言いたいけど言えない」 これを「漱石的状況」という。 といってもぼくが勝手にそう呼んでゐるだけである。 なんとなくかっこうがつく気がしたから。 「言いたいけど言えない」ことは無数にあって、実際のところ社交におけるほとんどは、言いたいことを言…

一つ以上の思い出を備えたデバイス

仕事で、英文特許日本語訳の校閲というのをやってゐる。 といってもそんなに英語が達者なわけではないし、化学や工学等に精通してゐるわけでもない。 そういう人間でもできるような、つまりそういう扱いの仕事をしてゐるのである。 一応、英文の特許をちょぴ…

北朝鮮の空は新海誠のアニメのように青いという。

「我在朝鲜最高学府留学,度过了魔幻与现实的193天」という題の文章を読んでゐる。 慧琦という名の中国人女子学生が、北朝鮮の最高学府である金日成総合大学に留学した。 そのことを書いた留学記だ。 その中にこんな記述がある。 我自己平时很喜欢散步,我记…

「お金がない」のではない。「not afford」なんだ。

ぼくはいつもお金がなくてヒイヒイ言ってる。 貯金なんて出来たことがあったかしら? 入ったものは、基本、すべて出ていく。 宵越しの金は、持たない(持てない)。 要するに収入が低いということなんだが、なぜ収入が低いかについて書きたいわけではない。 …

書き表せれない だ~って多いんだもん!!

というのは大塚愛の代表曲「さくらんぼ」の一節である。 この曲はぼくが高校一年生のときにヒットした。 となりどうし あなたと あたし さくらんぼ~♪ というゴキゲンでウキウキなハッピーソングだ。 吹奏楽部だったぼくは、たしかこの曲を演奏したと思う。 …

いかがなものか。

「いかがなものか」ってなんなのかね。 といつも思ってる。 コメンテーターっぽくてバカみたいだと。 気にいらないね、を気取っていうと、いかがなものか、になるのかな。 あるいは、論拠を示せないけれど、批判したいときに使うのかな。 いづれにせよ、いか…

さようなら、「思ひきや」。

「思いきや」には二つ用法がある。 手元の辞書には次の順番で記載されてゐる。 おそらくほかの辞書もこの順序だろうと思う。 1、~と思ったのに意外にも・・・ 例:これでゲームセットと思いきや、大谷のホームランでゲームは延長戦へと流れこんだ。 2、そ…

中島敦の描いた孔子

中島敦の「弟子」の一節をときどき思い出す。 孔子と子路を描いた小説だ。 その箇所だけを読み返したら、やっぱり素晴らしくて感激した。 こんなの。 このような人間を、子路は見たことがない。力千鈞の鼎を挙げる勇者を彼は見たことがある。明千里の外を察…

好きな歌 斉藤茂吉

「斉藤茂吉歌集」を折にふれ、読む。 どの頁を開いても、いいなあと、思う。 昔、ワードにメモした好きな歌をアップしておく。 斉藤茂吉(1882~1953) 「赤光」 「あらたま」 「つゆじも」 「遠遊」 「遍歴」 「ともしび」 「たかはら」 「連山」 …