手探り、手作り🐘

そして風まかせ Oh, my destiny 涙枯れるまで~🎵

ことば

日本語表記と歴史意識

はじめに 背景 国語改革 歴史、アイデンティティ、言語表記 正統ということ 漢字 漢字全廃のための字数制限 表内/表外という構図 仮名遣い 仮名で語を書く 変わりゆく音、変わらない文字 つづりと時間 「日出づる国」か「日出ずる国」か まとめ 言葉や文字…

運と仕合せ

芥川龍之介全集を読んでゐる。 芥川は「幸せ」を「仕合せ」と書く。いまでは見られない表記だ。用法もまた現在とは異なる。ぼくたちがふつう「幸せ」といったら、良いこと、幸福、ハピネス、つまり誰もがそうなりたいと思うような肯定的な価値を認められた状…

型(かた)のありがたさ。

最近ブログの更新頻度がめっきり少なくなってゐる。書く気力がないわけではない。日本語表記について現時点での考えをまとめておきたいと思い、それに関する本を読み、考えてゐる。 このテーマについては、去年の一月に「国語改革を問い直す」という記事を書…

自分があるから

近所で美容室を経営してゐるマダムが犬を飼ってゐる。マダム、と書いたのはその年長の女性を表すふさわしい和語がみあたらないからだ。高齢に見えるけれど老け込んでゐない。お洒落で華やかだ。おばさん、という感じではない。老婆、なんてとてもとても。 犬…

どうでもよしの春は来にけり

立春を迎えていよいよ春の兆しを感じる。風はまだ冷たいけれど、昼過ぎの日差しに春の匂いがする。花粉も飛び始めてゐる。目がかゆくなってきたら、あ、春だな、と思う。あ、春だな、と思ったら、大田垣蓮月の歌を思い出す。 死ぬもよし死なぬもよろし又ひと…

ありえない

「ありえない」という言葉を「認めない」とか「許さない」という意味で使う用法がこの5年ほどで急速に一般化したような気がする。完全にぼくの印象であり、てんで的外れなことを言ってゐるかもしれないけれど、少なくともぼくはそう感じる。代表的な例を二…

はったり怖い

「犬の科学」という本を読んでゐたら、犬のコミュニケーション、すなわち信号の交換について論じたくだりで、こんな記述にぶつかった。 信号が情報を送る手段として成立しているのは、送り手にも、受け手にも、その情報交換が何らかの役に立つからである。し…

「漢字伝来」大島正二

「漢字伝来」大島正二 2006 岩波新書 すべての人間集団は言語をもつが、そのうち文字を発明するのはわづかである。文字を発明した集団は「進んだ文明」を形成する。ここに権力構造が生まれる。文字をもつ「進んだ文明」がそうでない集団を征服する場合が…

「盲獣・陰獣」江戸川乱歩

「盲獣・陰獣」江戸川乱歩 河出文庫 2018 「めくら」「気違い」「女の腐ったような(ひどいな)」など、今だと炎上間違いなしの表現が盛りだくさんだ。ぼくは古い言葉が好きなので、ああ面白いなあと思って読んだけれど。 乱歩の「下品な品の良さ」みた…

中島敦の「李陵」

猛獣 中島敦の「李陵」を読み直した。なんど読んでも凄い作品だ。悲劇の武将李陵を中心に、武帝、司馬遷、蘇武の性情と運命を描く。 同じく中島敦の「山月記」に、 「人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。」 という言葉があ…

Vaishnava Jana To

先日「ガンディー 平和を紡ぐ人」という本を読んだ。それによれば、ガンディーは塩の行進の際に「Vaishnava Jana To」という歌を歌いながら歩いたという。どんな歌だろうと思って調べてみると、実に美しい歌だった。 Wikipediaの「Vaishnava Jana To」の概要…

年齢を重ねると、いろんなことを断言できなくなってくるよね。

先日、ある人と電話をしてゐて「年齢を重ねると、いろんなことを断言できなくなってくるよね」という話になった。「断言」ではなく「判断」だったかもしれない。とにかく、なんであれ、物事や自分や他人について、これはこうだ、こういう意味だ、こういう人…

書きたいけど書けない。

書きたいけど書けないというのはいったいなんなんだろうか。いま、仮名遣いについての文章を書いてゐるのだけれど、机に向かうのが苦痛でしかたがない。頭のなかには書きたいものがフンダンにあるのだけれど、それをきれいに順番に出していくことができない…

夢の間に

夏目漱石の「道草」は主人公の、 「世の中に片付くなんてものは殆どありやしない。一遍起つた事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変わるから人にも自分にも解らなくなるだけの事さ」 という印象的なセリフで終わる。 「道草」の前に書かれた「ガラス戸の…

小林は自分でも知らぬ間に正直に答へてゐた。

夏目漱石の「明暗」に続いて、水村美苗の「続 明暗」を読みなおしてみた。初見時には見事な文体の模写、伏線の回収、痛快に面白い展開といった数々の長所に感嘆とするばかりで「これは最高だ!」と思ったものだったけれど、再読してみると自分の中の評価が正…

夏目漱石の「明暗」

夏目漱石「明暗」の何度目かの通読を終えたので、いまの気持ちを書いておきたい。最高にいい気分だ。たぶん、四度目か五度目かになるのだけど、今回が一番よかったかもしれない。「自然/天」が「人間/私」を動かしていく、その様を堪能した。 ぼくはこの小…

「日本語のために」池澤夏樹 編

「日本語のために」池澤夏樹 編 河出書房新社 2017 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集の第30巻 最近、じっくり通読する本と、テキトーに通読する本と、必要な箇所だけ読む本とをはっきり分けるようになった。これまで「通読せねばならぬ」という思い込み…

「私は未来の侮辱を受けないために、今の尊敬をしりぞけたいと思ふのです。」

夏目漱石「こころ」、第十四章。 「私」は「先生」に対して、近づきがたいような、しかしどうしても近づかなければならないと迫られるような、不思議な引力を感じてゐる。若い「私」には、教壇に立つでもなく、著述をなすでもなく、ただしづかに一人を守る「…

「細君から嬲られる時の軽い感じ」

漱石の「明暗」を読んでゐる。どこを読んでも見事な文章でひたすら感嘆してゐる。 第十二章、津田は手術のために会社を数日休む旨を伝えに上司の吉川の家へ行く。しかし吉川は不在である。津田は細君に言伝をたのむ。 細君は快く引き受けた。あたかも自分が…

主食になる書物

批評家・詩人の若松英輔さんのつぶやきに共感した。 言葉は文字通りの意味で心の糧だ。だから米を食べるように同じ本を繰り返し読んでよい。むしろ主食になる書物との出会わないまま「甘いもの」だけを食べていると「歯」も「胃腸」もくたびれてくる。「良薬…

「詩を書くってどんなこと?」若松英輔

「詩を書くってどんなこと?」若松英輔 2019 平凡社 www.youtube.com www.youtube.com ☝は若松英輔さんの講演。 以下、ノートをば。 詩を書くことを勧めたいのは、詩は 表層意識だけでなく、私たちの深層意識、こころの深いところにあるものを表現できる…

Maybe

原曲:The Chantels 1957 「Maybe」 Maybe, if I pray every night You'll come back to me And maybe, if I cry every day You'll come back to stay Oh, maybe Maybe, if I hold your hand You will understand And maybe, if I kissed your lips I'll be …

お客さん

お客さん むかし 生理のことを「お客さん」といったらしい きょう お客さんの日なの などと お客さんは 毎月 数日のあいだ 女性のからだに 滞在して 血とともに 去ってゆく お客さんと仲良くできる人もゐるし そうでない人もゐる どんなお客さんがくるのか …

「誰があつと云つたの」

夏目漱石「明暗」 主人公の津田は清子への未練を抱えながらお延と結婚してしまった。そのことがお延を苦しめ、夫婦関係は危機にある。 津田とお延との仲をとりもったのは吉川夫人。夫人は、津田が清子にまだ執着してゐるのを見抜いてゐる。それでは本当の夫…

too submissive

アカデミー賞のメイクアップ賞を受賞したカズ・ヒロさんのことば。 "Sorry to say but I left Japan, and I became American because I got tired of this culture, too submissive, and so hard to make a dream come true. So that's why I'm living here.…

「話が通じるから好きなのよ」

「キャロル」(2015)という映画が好きだ。 ケイト・ブランシェット演じるキャロルとルーニー・マーラ演じるテレーズの恋を描いた美しい映画だ。あんまり好きなので、ぼくには珍しくパンフレットを購入してしまったくらいだ。 衣装・デザインがとても美…

結婚披露宴 祝辞

先日、奈良は猿沢池のほとりのとある会場で、友人の結婚式および披露宴に出席した。 ぼくは光栄にも新郎の友人代表祝辞という大役を仰せつかった。 緊張したが、なんとかその任を務めることができた。 結婚式というのはよいものですね。じーんときた。 ここ…

英語のむづかしさ。

英語ってむづかしいなあと思う。 先日、映画評論家の町山智浩さんがクリス・エヴァンスのツイートを紹介してゐた。 クリス・エヴァンス「政治から目を背ける(それは個人の権利)人々の心の中には、行動すべき時、発言すべき時の線引きがあるのだろう。なら…

北朝鮮の空

「我在朝鲜最高学府留学,度过了魔幻与现实的193天」という題の文章を読んでゐる。 慧琦という名の中国人女子学生が、北朝鮮の最高学府である金日成総合大学に留学した。そのことを書いた留学記だ。その中にこんな記述がある。 我自己平时很喜欢散步,我记得…

「お金がない」のではない。「not afford」なんだ。

ぼくはいつもお金がなくてヒイヒイ言ってる。 貯金なんて出来たことがあったかしら? 入ったものは、基本、すべて出ていく。 宵越しの金は、持たない(持てない)。 要するに収入が低いということなんだが、なぜ収入が低いかについて書きたいわけではない。 …