手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「それでも人生にイエスと言う」V・E・フランクル

「それでも人生にイエスと言う」V・E・フランクル 春秋社 1993 ナチスの強制収容所で三年間を過ごした精神科医フランクルが1946年に行った講演。 フランクルはタゴールの次の詩を引用し、「人間は楽しみのために生きてゐるのではない、生きること…

「イスラームの論理」中田考

「イスラームの論理」中田考 新潮社 2016 「智恵は信仰者の落とし物である。だからどこで見つけようとも、それを取りなさい。」とは預言者ムハンマドの言葉である。すべての真理は、誰が語ろうとも、それはイスラームなのである。 147頁 中田先生の本…

「新記号論」石田英敬 東浩紀

「新記号論 脳とメディアが出会うとき」石田英敬 東浩紀 ゲンロン 2019 記号学・メディア論の石田英敬氏と「ゲンロン」創業者で哲学者の東浩紀氏との共著。 石田氏が東氏を聞き手としておこなったゲンロンカフェでの講義を書籍化したもの。 フロイト・ソ…

「橋をつくるために」教皇フランシスコ ドミニック・ヴォルトン

「橋をつくるために」 教皇フランシスコ ドミニック・ヴォルトン 訳:戸口民也 新教出版社 2019 www.youtube.com この鼎談がほんとうに素晴らしくって、教皇フランシスコに関心をもった。 ラジオの中で批評家の若松英輔さんが本書をすすめてをられたので…

「死に急ぐ鯨たち」安部公房

「死に急ぐ鯨たち」安部公房 新潮文庫 1991(1986刊行本の文庫化) 動物は「本能」で動いてゐる。本能は「閉じたプログラム」である。 人間は「ことば」という概念把握能力を獲得したことによって、この「閉じたプログラム」を開いてしまった。 それ…

「最終講義」内田樹

「最終講義」内田樹 文春文庫 2015 内田先生のブログは全部読んでゐる。著作もたくさん読んでゐる。 だから聞いたことのある話が多いのだけれど、やっぱり感動しちゃう。だからまた読むことになる。読者への「愛」を感じて、ほっこりする。励まされて生…

「生きるチカラ」植島啓司

「生きるチカラ」植島啓司 集英社新書 2010 人生は誰にとっても苦しいものだ。不幸からのがれることはできない。また、最終的にはみんな必ず死ぬ。 不幸と死を前提とした、この生を、幸福に生きることはいかに可能か。 宗教人類学者が平易なことばで明快…

「職業としての小説家」村上春樹

「職業としての小説家」村上春樹 スイッチング・パブリッシング 2015 「走ることについて語るときに僕の語ること」に似て、村上春樹の小説論であり、「どうやって才能を最大限に開花させるか」論。すごく面白い。 こんなの。 これはあくまで僕の個人的な…

「男はつらいよ お帰り 寅さん」

「男はつらいよ お帰り 寅さん」2019 監督:山田洋次 ↑松竹の公式サイト ↑予告。 ↑舞台挨拶 見終わって、とても悲しい気持ちだ。 映画がつまらないとか、駄作であるとか、そういうことではない。 令和の日本に、寅さんの居場所はないということを痛感し…