手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り🌴

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「日米安保解消への道」取留重人

「日米安保解消への道」1996 岩波新書 最近ぼくは真剣に、日米安保の解消を目指す、あるいは、それを真剣に考慮にいれて、日米同盟を根幹から問い直さなくてはならないと思ってゐる。 安倍政権が登場するまでは、ぼくもふつうに「日米同盟が基軸というの…

「どんなことが起こってもこれだけは本当だ、ということ。-幕末・戦後・現在-」加藤典洋

「どんなことが起こってもこれだけは本当だ、ということ。-幕末・戦後・現在-」 2018 岩波ブックレット 2017年に著者が行った講演に加筆修正したもの。 薄っぺらいのですぐ読める。 けれど内容は、濃く、深い。 加藤は日本が幕末に成し遂げた明治…

「ルバイヤート」オマル・ハイヤーム

「ルバイヤート」オマル・ハイヤーム 小川亮作訳 岩波書店 オマル・ハイヤームは11世紀ペルシアの詩人。 11世紀だからペルシアはとうにイスラーム化してゐるのだが、この詩人は酒のことばかり歌ってゐる。 たとえばこんな具合に。 魂よ、謎解くことはお…

「村上春樹は、むずかしい」加藤典洋

「村上春樹は、むずかしい」2015 岩波新書 村上春樹1979年のデビューから2013年の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」までの全活動を網羅的にとりあげて論じてゐる。 こんなに深く読めるものなんだと批評家の読みの深さに驚く。 こと…

中島敦の描いた孔子

中島敦の「弟子」の一節をときどき思い出す。 孔子と子路を描いた小説だ。 その箇所だけを読み返したら、やっぱり素晴らしくて感激した。 こんなの。 このような人間を、子路は見たことがない。力千鈞の鼎を挙げる勇者を彼は見たことがある。明千里の外を察…

「マホメット」井筒俊彦

「マホメット」1989 講談社学術文庫(原著は1952年) 丸谷才一がどこかで「偉い学者の書いた薄い本を読め」みたいなことを言ってゐた。 本を読むからには再読三読に値するような名著を読むべきだし、そのためには薄いほうがよい。偉い学者の書いた薄…