手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

辺野古新基地建設 備忘

辺野古の新基地建設問題について備忘のために記す。

10月24日、以下のような報道があった。

社説[辺野古訴訟却下]政府に追随した判決だ | 社説 | 沖縄タイムス+プラス

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決を「違法な国の関与」として、県が国を相手に起こした「国の関与」取り消し訴訟の判決が23日、福岡高裁那覇支部で言い渡された。

 大久保正道裁判長は「(地方自治法によって)裁決は国の関与から除外され、訴訟の対象になり得ない」などとして県の訴えを却下した。

 判決は県の訴えをことごとく退け、国の主張を全面的に認めている。

 県は、国の機関である防衛省沖縄防衛局が一般私人の権利救済を目的とする行政不服審査法(行審法)を使って国交相に審査を申し立てたのは違法であると主張した。

 判決は、公有水面の埋め立てを排他的に行って土地を造成する点では防衛局と一般私人は本質的に異なるものではなく、「沖縄防衛局は、行審法に基づき、国交相に審査請求をすることができる」と国の立場を追認した。

経緯を確認しておく。(こちら

2013年12月、仲井真弘知事が埋め立てを承認。

2015年10月、翁長雄志知事が埋め立て承認を取消。

2016年12月、承認を取り消した翁長知事を国が訴えた裁判、県側の敗訴が確定。

2017年7月、辺野古の護岸工事が始まる。

2018年8月、翁長知事死去。沖縄県、埋め立て承認を撤回。

2018年10月、埋め立て承認撤回に対して政府が対抗措置。沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき国土交通相に審査を請求、撤回の効力停止を申し立てを行う。

2018年12月、埋め立て区域への土砂投入開始。

2019年7月、国土交通相の裁決の取り消しを求め、県が訴訟を提起。

そして、今回それが却下された。

「国の機関である防衛省沖縄防衛局が一般私人の権利救済を目的とする行政不服審査法(行審法)を使って国交相に審査を申し立て」るというのは、ぼくの感覚からは違法行為だと思える。

行政府が法を恣意的に運用してゐるように感じる。

辺野古新基地建設の問題点については、映画監督の想田和弘氏がこちらの寄稿で5つの反対理由として簡潔にまとめてゐる。

〈1〉辺野古基地を建設しても、普天間基地が返還されるとは限らない 
〈2〉滑走路が短すぎる辺野古新基地は、造っても実は使い物にならない 
〈3〉辺野古基地建設には巨額の費用と長い年月がかかる上に、もしかすると完成しない(第二の“もんじゅ”) 
〈4〉そもそも軍事戦略的にも辺野古基地は必要ない? 
〈5〉取り返しのつかぬ自然破壊になる

正統性も現実性も実効性もないこのような計画が、繰り返し示される沖縄の民意を無視して、なぜ進められてゐるのか。

おそらく理由は上記記事に引用されてゐる米国「平和を求める退役軍人の会」の声明にあるとおりだろう。

「日本政府のメンツを守るためだけに無闇に推進されている」

これを正当化するために、そして国民を思考停止に追い込むために、中国に侵略される、乗っ取られるという脅威論がさかんに宣伝される。

しかしメンツよりも、もっと本質的な問題は日米同盟=対米従属体制の自己目的化、国体化ということにある。

対米従属という身振りをすること自体が、国を守り、国益を増大させることであるかのように観念されてゐる。

この迷信があまりに強固であるために、現実のほうがその迷信におしつぶされてゐる状況だ。

新基地建設の非現実性についても、続報があった。

辺野古新基地 完成してもばく大補修費/軟弱地盤で凸凹 止まらぬ沈下/技術検討会 資料公開

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設予定地に広がる軟弱地盤をめぐり、防衛省沖縄防衛局が設置した「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」の第1回会合(9月6日)の議事録や資料が公開されました。 

 この中で、政府は新基地の供用期間を50年と設定していることを明らかにしました。浮かび上がったのは、2兆6500億円(沖縄県試算)以上とされる建設費にとどまらず、“完成”後も50年間、地盤沈下に伴う補修などでばく大な支出が不可避だということです。 

こんなことをやってゐたら、どこに攻められまでもなく、勝手に自滅していくだけだろう。