手探り、手作り

樂しみ亦た其の中に在り

「国民の天皇 戦後日本の民主主義と天皇制」ケネス・ルオフ

「国民の天皇 戦後日本の民主主義と天皇制」ケネス・ルオフ

岩波現代文庫 監修:高橋紘 翻訳:木村剛久・福島睦男

天皇制について考えようと思って読んだ。

こういう本を読むと、学者って偉いなあと思う。

これほど包括的に、客観的に、遠慮なく書けるのは、著者が外国人だからだろう。

思い入れがない分、とてもドライで開放的な文章になってゐる。

英語で書かれたものだから、当然、非日本人を対象にしてゐるので、ぼくみたいに天皇制に詳しくない人でも読みやすい。かなり初歩から書いてくれてゐる。

日本は実質的に移民国家になってをり、これからもどんどん外国人が増えていく。そうなると天皇制は「日本人」を超える普遍性をもたなければ存続できないことになる。

そういう意味でも、外国人による天皇制研究であるこの本は、たいへん貴重だと思う。