生活の芸術

正しいことをひかえめに言う練習

この破裂音が凄い。

仕事で、特許文書の校閲をしてゐる。中国の特許だ。

中国特許を現地の中国人がまづ日本語に訳して、それをぼくらが校閲して日本語の水準を引き上げ、特許庁に納品する。そんな流れだ。

 

ノルマがある。

 

具体的な数字は避けるが、限られた時間のなかでけっこうな量の文章を読み、可能な限り日本語としての水準を上げる。

 

中国からあがってくる翻訳文が60点くらいだとすると、それを70点くらいまで引き上げるのがぼくの仕事だ。

 

特許なのに70点でいいのかと思うが、いいらしい。

 

当然、専門性の高い文書だから読んでもほとんどわからない。わからないなりに目の前の文章をちょっとだけマシにする。それがぼくの仕事だ。

 

内容を理解せずに読み進めるというのはなかなか苦痛である。というか難しい。しかしそれでも進めなければノルマをこなせないのだから、理解したいという欲求を相当程度消さなくてはならない。

 

で、ぼんやりとした理解のうちに文字面を追っていくのだが、そうすると、言語が意味として完全に把握されないままに、絵として脳ミソに蓄積されていくからだと思うのだけれど、脳ミソがある文字に反応して、そこから勝手にくだらない思考を働かせてしまうことがよくある。

 

ちょっとわかりにくいかもしれないが、具体的には、今日、こんなどうでもいいことを校閲しながら考えた。考えたというか、脳ミソの端っこのほうでぼくのまったく意図しない活動が行われるのを、よそからぼんやり見てゐるような感じだ。

 

医薬品に関する文書を読んでゐたときだ。

 

「薬」ということばをなんども目にする。そうしてぼくの脳ミソはそこから「薬箱」を連想し、スマップの「ライオンハート」を流し始めたのだった。

 

  君はいつも僕の薬箱さ
  どんな風に僕を癒してくれる

 

ぼくはこの歌があまり好きではないから。すぐに停止命令を出した。

「おーい、別の歌にしてくれろ」

そしたら今度は薬つながりでボン・ジョビの「Bad Medicin」が流れてきた。

www.youtube.com

  Your love is like bad medicine
  Bad medicine is what I need, whoa
  Shake it up just like bad medicine
  There ain't no doctor that can cure my disease
  Bad medicine

  

  おまえの愛は悪い薬みたいだぜ

  悪い薬 それこそおれが欲しいもの

  まったく 悪い薬みたいだ

  これを治せる医者はいねえ

  悪い薬だ

 

なんて豪快な歌なんだろう。エイティーズはいいなあ。「薬箱」より「悪い薬」と呼ばれたいなあ。

などと思いながらついついジョン・ボンジョビになりきって、音にせずに歌おうとしたら、つい「Bad medicine」の「バ」で破裂音がでちゃったの。

 

だって英語の破裂音てなかなかハードぢゃない。

それに加えて、この歌よ。

「Bad medicine」の「バ」の前に思い切り息を吸い込んで、全力で唇をしめて、それを猛烈にぶっとばして発音して「バ」を出す。

 

こんなにツバが飛ぶ歌ってないと思う。

 

そしたらすぐにマイケル・ジャクソンの「Bad 」が浮かんでしまったの。

www.youtube.com

これも相当ツバ飛ぶよ。

 

80年代はかなりツバが飛んでゐた時代だと言えそうだな・・・

 

仕事中、ぼくの意思とは裏腹にずっとこういう連想ゲームが続いてゐる。