お気に召すまま

ー半島情勢を中心にー

金正恩委員長は、新型の大陸間弾道ロケット「火星15」型の成功裏の発射を見守りながら、今日ついに国家核戦力完成の歴史的大業、ロケット強国偉業が実現されたと誇り高く宣布した。

今週の気になるニュース。

 まづ原発関連ニュース。ここではほとんど半島関連の報道を追ってきたが、これは大きなニュースだと思ったから例外的に載せておく。廃炉が決まってゐる高速増殖炉もんじゅ」だが、なんと「放射能を帯びたナトリウムの抜き取りができない設計」になってゐるといふのである。つまり「廃炉の仕方」がわからないらしいのだ。

https://mainichi.jp/articles/20171129/ddm/001/040/162000c

毎日新聞の記事を抄録する。

 廃炉が決まっている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。放射能を帯びたナトリウムの抜き取りは廃炉初期段階の重要課題だが、同機構が近く原子力規制委員会に申請する廃炉計画には具体的な抜き取り方法を記載できない見通しだ。

 通常の原発は核燃料の冷却に水を使うが、もんじゅは核燃料中のプルトニウムを増殖させるため液体ナトリウムで冷やす。ナトリウムは空気に触れれば発火し、水に触れると爆発的に化学反応を起こす。もんじゅでは1995年にナトリウムが漏れる事故が起き、長期停止の一因になった。

(中略)

 原子力機構幹部は取材に対し「設計当時は完成を急ぐのが最優先で、廃炉のことは念頭になかった」と、原子炉容器内の液体ナトリウム抜き取りを想定していないことを認めた。炉内のナトリウムは放射能を帯びているため、人が近づいて作業をすることは難しい。

 原子力機構は来年度にも設置する廃炉専門の部署で抜き取り方法を検討するとしているが、規制委側は「原子炉からナトリウムを抜き取る穴がなく、安全に抜き取る技術も確立していない」と懸念する。

 もんじゅに詳しい小林圭二・元京都大原子炉実験所講師は「設計レベルで欠陥があると言わざるを得ない。炉の構造を理解している職員も少なくなっていると思われ、取り扱いの難しいナトリウムの抜き取りでミスがあれば大事故に直結しかねない」と指摘する。【鈴木理之】

 「都合の悪いことは起こらない」ことにしてあらゆる問題を「先送り」にする、といふ原則が日本中枢を毒してゐる。最も愚鈍で倫理の欠如した人たちが、この国を動かしてゐる。ただ、辛い。

 続いて半島ニュース。

 北朝鮮は11月29日、大陸間弾道ミサイル「火星15号」を発射した。ミサイルは青森県西250キロの日本海上に落下した。北朝鮮の発表は以下のとほり。

Naenara-朝鮮民主主義人民共和国

朝鮮政府が新型の大陸間弾道ロケット試射の成功に関連する声明を発表

朝鮮民主主義人民共和国政府が新型の大陸間弾道ロケット試射の成功に関連して29日、次のような声明を発表した。

朝鮮労働党の政治的決断と戦略的決心に従って、新しく開発した大陸間弾道ロケット「ファソン15」型の試射が成功裏に行われた。

大陸間弾道ロケット「火星15」型の武器システムは、米本土全域を打撃できる超大型重量級核弾頭の装着が可能な大陸間弾道ロケットとして、去る7月に試射した「火星14」型より戦術的・技術的諸元と技術的特性がはるかに優れた武器システムであり、われわれが目標としたロケット武器システム開発の完結段階に到達した最も威力ある大陸間弾道ロケットである。

朝鮮労働党と共和国政府の委任に従ってキムジョンウン委員長が指導する中、大陸間弾道ロケット「火星15」型はチュチェ106(2017)年11月29日2時48分、首都ピョンヤンの郊外で発射された。

ロケットは予定された飛行軌道に沿って53分間飛行し、朝鮮東海の公海上の設定された目標水域に正確に着弾した。

試射は、最大高角発射システムで行われ、周辺国家の安全にいかなる否定的影響も与えなかった。

大陸間弾道ロケットは、頂点高度4475キロメートルまで上昇して950キロメートルの距離を飛行した。

金正恩委員長は、新型の大陸間弾道ロケット「火星15」型の成功裏の発射を見守りながら、今日ついに国家核戦力完成の歴史的大業、ロケット強国偉業が実現されたと誇り高く宣布した。

大陸間弾道ロケット「火星15」型試射の大成功は、米帝とその追随勢力の悪らつな挑戦と折り重なる試練の中でもいささかの動揺もなく朝鮮労働党の並進路線を忠実に支えてきた偉大で英雄的な朝鮮人民が獲得した高価な勝利である。

朝鮮民主主義人民共和国の戦略武器の開発と発展は全的に、米帝の核恐喝政策と核威嚇から国の主権と領土保全を守り、人民の平和な生活を防衛するためのものとして、わが国家の利益を侵害しない限り、いかなる国や地域にも脅威にならないということを改めて厳かに声明する。

朝鮮民主主義人民共和国は責任ある核強国であり、平和愛好国家として、世界の平和と安定を守るための崇高な目的の実現のために自分の努力の限りを尽くすであろう。

「われわれが目標としたロケット武器システム開発の完結段階に到達した最も威力ある大陸間弾道ロケット」「今日ついに国家核戦力完成の歴史的大業、ロケット強国偉業が実現されたと誇り高く宣布した。」と言ってゐる。

 ぼくはこれを読んで「ああ、完成したのか。ならもうミサイル発射実験はないのだな」と思った。が、よく読むと核弾頭の再突入技術に関しては言及されてゐない。だからまだ実験はするのかもしれない。

 北のミサイル発射を受けて米国が「さらなる制裁」を叫び、中露が「制裁ではどうにもならぬ」と自制を促すといふいつも通りの展開となってゐる。

www.afpbb.com

ロシアのセルゲイ・ラブロフSergei Lavrov)外相は24日、北朝鮮による大陸間弾道ミサイルICBM)発射を受けて同国との関係を断ち切るよう米国が求めたことについて、これを拒否する意向を表明した。

 複数のロシアメディアによると、ラブロフ氏はベラルーシの首都ミンスクで記者会見に臨み、「われわれはこれを否定的に見ている。繰り返し述べているが、制裁による圧力は使い果たされている」と述べた。

 ラブロフ氏はまた、米国が金正恩キム・ジョンウンKim Jong-Un)政権を刺激しようとしていると非難。「米国の最近の行動は意識的に北朝鮮政府を別の過激な行動へと仕向けているかのようだ」と述べ、「米国人は自分たちの狙いが何か説明する必要がある。もし北朝鮮を滅ぼす理由を探しているのであれば率直にそう言うべきであり、米国の指導者もそれを認めるべきだ」と語ったという。(c)AFP

japanese.joins.com

 中国官営環球時報はこの日、北朝鮮の核・ミサイル問題で中国はやるだけのことはやったから、これ以上(米国と国際社会が)中国に強要することをやめてほしいと促した。共産党機関紙人民日報の姉妹紙である環球時報のこのような論調は先月末、北朝鮮の「火星15」大陸間弾道ミサイルICBM)の発射にともなう米国の追加対北朝鮮制裁の動きに対する中国政府の拒否感を示したと分析できる。 

  環球時報はこの日の社評で「中国は北朝鮮に友好的な政策を展開してきた少ない国家の一つだが、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁に参加した」とし「中国は依然として北朝鮮の最大の貿易相手国であり、数回にわたって安保理から北朝鮮の立場を弁護し、対北朝鮮制裁が北朝鮮人民を狙ってはならないという点を指摘した」と明らかにした。また「米国に対しても中国はやるだけのことはやった」とし「中国は安保理決議の履行過程で中朝関係を傷つけるなど、すでに代価を払っている」と主張した。この新聞は、特に「北朝鮮が一層発展されたICBMを発射したとすれば、これに対する制裁を甘受するのは当然だ」としつつも北朝鮮がいかなる間違いをしようが、全面的な貿易運送禁止など北朝鮮を孤立させる行為も間違っており、中国は米国のこのような非現実的な構想に協力する義務がなく、米国が中国と安保理を統制する指揮権を持っているとも言えない」と批判した。 

 ハンギョレ社説の説くとほり、韓米は対北朝鮮政策の全面的見直しを行ふべきだと思ふ。日本もさうだが安倍政権に願ふことはただ退陣のみである。

[社説]北朝鮮「核武力完成」、韓米は対北朝鮮政策の全面再検討をすべき : 社説・コラム : ハンギョレ

冷静に見るならば、今回の発射を全く予想できなかったわけではない。ドナルド・トランプ米大統領のアジア歴訪と、習近平・中国国家主席の特使である宋濤・中国共産党対外連絡部長の訪北でも明確な突破口を用意できなかったうえに、トランプ米行政府は9年ぶりに北朝鮮をテロ支援国に再指定した。北朝鮮の今回のミサイル発射は、「核武力完成」に向けた自国の時刻表に従ったものと見られるが、「テロ支援国再指定」が北朝鮮に一定の名分を提供した側面もあるだろう。

 今後当分は、北朝鮮と米国は競走する汽車のように激しい“強対強”対決の様相を見せることが明らかだ。トランプ大統領はこの日、「制裁と圧迫」という米国の対北朝鮮アプローチ方式を変える意思はないと明らかにした。29日(現地時間)に緊急招集される国連安全保障理事会は、制裁の強度を一層高める方案を議論する予定だという。問題は、制裁水準をどのように高めるのか、また、制裁水準が高まれば北朝鮮がこれに屈服して対話に出てくるのかがきわめて不透明だという事実だ。トランプ行政府は、中国に向かって原油供給中断または大幅縮小を強く要求すると見られるが、中国がどこまで呼応するかは未知数だ。米国の武力示威回数が増え、その強度も高まると予想される。北朝鮮に対する強力な警告が目的だが、その過程で韓国が甘受しなければならない経済的・軍事的負担は侮れないだろう。

 米国は北朝鮮に対して、バラク・オバマ行政府では「戦略的忍耐」という名前で、トランプ行政府では「強力な制裁」で一貫してきた。北朝鮮がミサイル試験をするたびに強力な糾弾と制裁宣言が「機械的慣性」のように続いてきた。しかし、制裁局面でも北朝鮮は一貫して核・ミサイルを開発してきたし、今は「核武力完成」を主張するに至った。少なくとも現在のところ、「最大の関与」が抜け落ちた制裁一辺倒の対北朝鮮圧迫政策は事実上失敗したと言える。

 韓国の文在寅大統領は「火星15号は完成してゐない」との立場を明らかにした。

japan.hani.co.kr

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先月30日、ドナルド・トランプ米大統領との電話で北朝鮮の「火星-15」型ミサイルについて、「開発の完成段階ではない」という趣旨で説明した背景に注目が集まっている。基本的には大陸間弾道ミサイル(ICBM)の技術的完成度に疑問を示したものだが、米国と北朝鮮に状況判断を誤って極端な衝突に突き進んではならないというメッセージが含まれているものと見られる。

 文大統領は同日の電話会談で、火星-15型について「これまでのミサイルの中で最も進んだものであることは確かだが、再突入と終末段階の誘導分野の技術はまだ立証されておらず、核弾頭の小型化技術を確保したかどうかも定かではない」と述べた。文大統領は「北朝鮮のミサイルをどのように見ているか」というトランプ大統領の質問に答える過程で、このように説明した。「大陸間弾道ミサイル開発が完結の段階に到達し、核兵力の完成を実現した」という北朝鮮政府の声明を認めない立場を示したのだ。 

  北の立場は一貫してゐる。「核保有国として認めて欲しい。そこから交渉しませう」といふものである。

japan.hani.co.kr

 北朝鮮が、核保有国としての地位が認められれば米国と交渉する用意があるという立場を明らかにしたと、訪朝したロシア下院議員が伝えた。核保有国地位の認定は北朝鮮の一貫した立場だが、先月29日の「火星-15型」ミサイル発射を「核武力の完成」と宣言した状態で、対話の意思を伝えたものと見られる。

 同僚議員らと一緒に訪朝したビタリ・パシン議員は「キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長(国会議長に当たる)が、北朝鮮は交渉テーブルにつく用意ができていると明らかにした」と伝えたと、「インタファクス通信」が1日付で報じた。パシン議員は、北朝鮮が今回の発射で目標を達成して米国と交渉する準備ができたとしたうえで、交渉に出る条件として核保有国としての認定を掲げたと話した。彼は、北朝鮮が今回のミサイル発射を米国に交渉しようというシグナルを送ったものとみなしていると付け加えた。ロシアの議員たちは発射翌日の30日、キム・ヨンナム常任委員長と面会した。

 12月4日、韓米軍事演習始まった。

japan.hani.co.kr

訓練には、韓国軍航空機約80機と米軍航空機約150機など合わせて230台機が参加する。米軍側から「ステルス機F-22」6機や「F-35A」6機、「F-35B」12機、電子戦機「EA-18Gグラウラー」6機、戦闘機「F-15C」約10機、「F-16」約10機、長距離爆撃機B-1B、早期警報機E-3などが参加し、韓国側側は戦闘機F-15KとKF-16、F-5、韓国製軽攻撃機FA-50、国産戦術統制機KA-1、空中管制機E 737などが参加する。


 北朝鮮は、前日の外務省報道官の声明に続き、「労働新聞」を通じて訓練を強く非難した。労働新聞は3日付で、「ただでさえ緊張した朝鮮半島情勢を、核戦争勃発の局面へとさらに深く追い込む危険な挑発妄動」とし、「合同空中訓練は我々に対する公然の全面挑戦であり、あっという間に核戦争の火種を爆発させる引き金となりかねない」と主張した。 

 米国には「在韓米軍家族の退避」を訴へる議員が出てきてゐる。

www.jiji.com

共和党のグラム上院議員は3日、CBSテレビのインタビューで、北朝鮮との軍事衝突が近づいているとの認識を示し、「在韓米軍の家族を韓国国外に退避させるべき時が来た」と訴えた。グラム氏は「北朝鮮が米本土に届く大陸間弾道ミサイルICBM)の技術と核兵器の融合を進める中、われわれは軍事衝突に近づいている」と発言。

「時間はあまり残されていない」と繰り返し、北朝鮮と戦争になれば大きな被害を受けるとされる韓国から米軍兵士の妻や子供を退避させるべきだと訴えた。韓国には米兵約2万8500人が駐留している。

 本当に戦争が始まるのだらうか。朝鮮半島で。あってはならないことだ。中露が提言してゐる「双中断」すなはち北も米韓も同時に挑発をやめて対話を始める。それでいきませうよ。